小中学校の屋根の太陽光発電事情・・・

横浜市の小中学校では、一部の屋根に太陽光発電のパネルが設置されています。
青葉区では、小中学校合わせて19校に設置されていました。いつの間にか設置されていた…という印象のこの太陽光発電。幾つか疑問を携えて教育委員会にヒアリングに行ってきました。

*市内小学校の太陽光発電設備ではありません。

この太陽光発電は、平成21年度、国の経済危機対策における「スクール・ニューディール」構想推進の一環で横浜市内184校に設置されました。この構想の目的は、地球温暖化対策、環境教育などとなっています。
設置には、設備費1200万~1300万、加えて設計費、工事費がかかり、合計すると1校10kWの設備に対してなんとおよそ1500万円ものお金が投入されたのだそうです。これが184校ですから、単純計算で27億以上の金額が国庫と一部横浜市から注ぎ込まれたことになります。国庫であろうが、市の財源であろうが、元は私たちの税金に違いはありません。
これだけのお金を使って設置した太陽光発電、どれだけ省エネ効果があったのでしょうか?
返ってきたのは「わからない」という言葉。
年間の発電量、前年度との電気料金などを比較する等の(企業や家庭であれば、必ずやるだろう)検証が全くなされていなかったことに驚きました。
では、本来のもうひとつの目的である環境教育の側では、児童、生徒たちに対してどのような取り組みがされているのでしょうか?
各校には、目立つ場所に太陽光発電用モニターが設置され、発電量や、減らした二酸化炭素量などといった事柄がわかるようになっています。これを小学生がちょっと見ただけでは、理解できるとは思えません。しかし、これ以外の取り組みは全て各校に任され、教育委員会では把握していないとのことでした。

また、小中学校は、災害時の防災拠点としての重要な場所でもあります。近隣の住民からは、小中学校の屋根太陽光発電を見て、安心しているとの声も聞かれました。ですが実際は、自立運転機能はあるものの、蓄電池が付いている所は1校もないとのこと。つまり、災害時でも、晴天の昼間しか太陽光発電で電気を供給することはできないのです。設置当時は、震災経験前で防災の感覚が薄かったことは否めませんが、何の為の発電なのでしょうか?
学校に太陽光発電がある。という本来ありがたいことが、何だかものすごい無駄使いの上にただ乗っている。というように思えた今回の調査、とても残念でなりません。

前の記事

「小1の壁」