こども青少年・教育委員会 行政視察 〜2日目 熊本〜

2015年11月13日 20時08分 | カテゴリー: 子育て, 教育, 活動報告

「こうのとりのゆりかご」へ続くアーチ

2日目は、熊本へ。慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」を視察しました。
通称「赤ちゃんポスト」の名で話題になったところですが、実際に病院への道、「こうのとりのゆりかご」までの道を歩いてみると、ゆりかごに子どもを預けるために、この道を赤ちゃんを抱いて歩いた人がいるのだと、胸に迫るものがあります。
見学に併せ、看護師さんの熱のこもったお話を伺いました。
「こうのとりのゆりかご」は、ただ子どもを置いていく場所ではなく、慈恵病院では、相談業務も行っています。ゆりかごに子どもを預けに来た人は、まず「相談してください」の看板に出会い、何度もその電話番号を目にするようになっています。実際にそうして赤ちゃんを預けることを止めた人、ちゃんと素性を明らかにして特別養子縁組へ繋いだ事例など様々なケースが生まれています。
慈恵病院とこうのとりのゆりかごを題材としたドラマが放映されてからは、相談件数も大きく増え、全国からの相談が寄せられ、相談件数は2014年度で4000件を超え、今年度は6000件に届く勢いだということでした。そしてここから生まれた特別養子縁組は、232件。大きな成果もあげています。

小さな扉のすぐ横に相談の案内

その後、熊本市議会に伺い、行政の側からのお話を伺いました。
「ゆりかご」に預けられた子どもは、児童福祉法上「要保護児童」として扱われます。子どもの親が判明した場合には、親の居住地の児童相談所にケース移管する手続きをとり、親が判明しない場合には、熊本市児童相談所での手続きとなりますが、身元がわからない場合、熊本市で戸籍が作成されることになります。熊本市としては、この身元の判明を子どもの養育上重要と捉えており、当初、匿名での受け入れを前面に出していた病院側との間には考えの相違もあったようです。
「ゆりかご」には、近隣県のみならず、ドラマの影響もあり、全国各地から預けに来る人がおり、他に類を見ない取り組みでもあるために、行政の苦悩も伺えました。

病院側、行政側の双方から出た「安易な預け入れにつながっていないか」との観点からの評価についての話が印象的でした。
病院側は、子どもを預ける為に遠い道のりを「ゆりかご」目指してやってくる。少なからず子どもの将来を案じている行為と受けてめている。と安易な受け入れを否定しています。一方行政側は、預け入れに来た者との接触ができていない事例が多く、この件に関しては、評価ができないとしています。担当者は、「ゆりかご」ができたからといって、保護責任者遺棄事件は減っている訳ではなく、「ゆりかご」に預けることが出来る人は、そもそも実際に遺棄するような事はしないのではないか?と話し、行政側の苦悩と本音を垣間見た気がしました。

扉の内部。扉を開けるとまず手紙が入っており、その手紙を受け取らないと奥の扉は開かない仕組み。扉が開けられると、自動的にブザーがなり、即座に子どもが預けられたことが知らされる

この「ゆりかご」をきっかけに相談から、支援へつながった実績は見過ごせない事実。行政が率先してできなかった事を病院という場が実践してみせてくれた、この実例を、自治体としてどのように活かしていくのか、今後の取り組みに反映させていくべきと感じました