ー生活困窮者自立支援制度 就労支援プロジェクト視察報告ー      名古屋市 コンソーシアム方式で取り組むオーダーメイド型支援

2017年12月7日 22時45分 | カテゴリー: 活動報告, 生活困窮者支援・若者支援

11月15日、「名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター名駅」を訪れました。
生活困窮者自立支援制度の就労支援を調査する中で、名古屋市の認定就労訓練事業所が他の自治体に比べ159カ所と非常に多いことに注目をし、また、人口227万人と自治体規模も横浜市に比較的近く、参考にすべき事例も多くあるのではないか?ということから、視察を行いました。

名古屋市では、生活困窮者自立支援事業を市内3カ所の「仕事・暮らし自立サポートセンター」が、自立相談支援・就労準備・認定就労訓練・家計相談を一体で、実施しています。
「仕事・暮らし自立サポートセンター」は、社協やNPO3団体で構成される「名古屋くらしサポートコンソーシアム」が2カ所、障害福祉系の3団体で構成される「生活困窮者支援共同事業体」が1カ所、受託・運営しています。コンソーシアム方式にすることで、事業者それぞれの強みを生かした支援を、一体で行うことができる利点があります。相談支援から、就労まですみやかに情報が共有され、人に応じた相談員の配置を可能にしています。
一方、横浜市においては、自立相談支援は、区役所の各生活支援課に窓口を置き、就労準備、認定就労訓練、家計相談はそれぞれ全く別の事業者に委託しており、それぞれが持つ情報が分断され、利用者支援に結びつかないという指摘があります。本来、生活困窮者支援は、その「人」に関わる周辺状況の包括的な支援が必要になりますが、現状の体制で行うには、自立相談窓口の数こそ多いですが、自立相談支援員でのスキルに頼らざるを得ない状況にあるのも現状です。「人」に応じたそれぞれのオーダーメイド型支援を行うには、事業が一体で行われるコンソーシアム方式の利点は大きいと感じました。また、横浜市を始め多くの自治体は、就労支援等の事業を1年ごと公募型プロポーザル方式によって事業者を選定、委託しています。1年ごとの公募委託は、事業者にとって、事業基盤の安定が難しく、長期の事業計画を描くのが難しいというデメリットがあり、同時に利用者に対する継続支援のあり方への影響も考えられます。名古屋市では、この委託契約を3年とすることで、長期的支援にも応えられる仕組みを確立しています。

注目をしていた名古屋市の就労支援は、就労準備支援・認定就労訓練事業が一体で行われています。
就労準備支援では、「生活自立訓練」「社会自立訓練」「就労自立訓練」とステップを用意し、それぞれに合った支援を行える仕組みを作っています。就労自立に際しては、受け入れ事業所を「就労体験事業所」として登録をし、就労体験に対して一人当たり1日5000円の謝金が支払われます。
また認定就労訓練事業では、認定就労訓練事業に対し、雇用型での受け入れに際し、月20時間以上で2万(上限3回)、月40時間以上で4万(上限3回)という協力金が支給されます(パイロット事業)。これまで、認定就労訓練事業では、認定手続きの煩雑さに加え、認定事業所へのインセンティブがないことが、認定事業所拡大への足かせとなっているとの指摘がされてきましたが、それを市が単独で補う取り組みです。現在、名古屋市は認定事業所を159カ所と大きく広げています。(横浜市は33カ所)その背景にこのインセンティブが大きく寄与しているのでは?と仮説を持ち、今回伺いました。実際は、事業所はインセンティブ目当てより、人手不足の解消を目指して登録することが多い。との話を聞くことができました。市が力を入れて取り組むことが、制度への信頼を生み、働きづらさを抱える人に対して、労働力として期待し、支援へとつながっていることが推測されます。
また、認定を受けずに就労体験事業所として登録している事業所は70あり、認定というハードルを下げながら、さらに訓練の場を広げることにも成功しています。
一方、名古屋市に限ったことではありませんが、引きこもりなどにより、就労支援にも遠い「予備軍」の人が多くいることも、現場では感じる。という話がありました。こういった人に対しては、居場所的支援の必要性が指摘されているところです。横浜市においても若者に対しては、比較的充実している居場所支援ですが、40歳になると行き場を失う「40歳の壁」が課題化しつつあります。名古屋市では、生活自立訓練として、まずはサポートセンターへの定期来所を促す取り組みからステップが用意されており、就労準備の場がこうした支援の可能性を秘めているということも改めて確認しました。

名古屋駅から美しい夕日に見送られ帰路へ

仕事・暮らし自立サポートセンターへの視察後は、実際に就労支援を受け入れている「社会福祉法人サンライフ/サン・ビジョン」の介護施設「ジョイフル名駅」で、実際の就労支援事業者としての取り組みを伺いました。
社会福祉法人サンライフ/サン・ビジョンでは、社会貢献推進室を持ち、こうした支援付き就労に積極的に取り組んでいます。社会貢献推進室の山下さんは、これまでの経験から「配慮があれば出来るということが分かれば、仕事はある。できることを積み重ねていくことが大切」と言います。「100人雇ったら5%程度の人が何らかの課題を抱えている現在、就労支援のノウハウを活かすことが、指導ノウハウの蓄積にもつながっている。」とも。
これからの深刻な人材不足を見越し、就労困難者が今後増加すると予想される社会の課題にいち早く取り組み、乗り越えようという気概には、心を動かされました。