学校をプラットフォームにした包括的な若者支援

2018年8月11日 12時38分 | カテゴリー: 教育, 活動報告, 生活困窮者支援・若者支援

8月6日は、『学校をプラットフォームにした包括的な若者支援ー多様な困難を有する高校生のキャリア支援を通して考えるー』と題し、神奈川県高等学校教育会館 教育研究所特別研究員、東洋大学非常勤講師の金澤信之先生にお話を伺いました。
金澤先生は、青葉区の田奈高校で今年春まで教員を務められ、クリエイティブスクールとして、実際に学校をプラットフォームとした支援に様々な取り組みを牽引してきたお一人です。

2015 年の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」改正から、独立尊重してきた政治と教育の関係は、介入する関係へ変化を始めています。
先日の「学力調査の結果をボーナス・人事評価に反映する」とした大阪市長の意向が大きな波紋を呼んでいます。こうした成果主義を教育に持ち込むことは、教員への締め付けだけでなく、子どもの多様な学びをも阻害することにつながると考えます。(金澤先生によると、こうした手法は既にアメリカで実験され、統計学的には、何の改善も見られないか、むしろ悪影響。とされ、エビデンスはない。)

一方で、2013年「子どもの貧困対策の推進に関する法律」により、学校を貧困対策のプラットフォームと位置づけ、学校と福祉の連携が進もうとしています。

田奈高校においては、様々な機関・組織の連携をしながら、生徒のキャリア支援に取り組んできました。横浜市のこども・青少年局も大きな役割を果たしています。
高校では、支援の必要な子が定時制、通信制高校、学力下位校クリエイティブスクール等に集中する傾向があるため、学校をプラットフォームにする手法が有効と言われています。しかし、近年は、様々な困難を同時に抱えた子どもたちが増加しており、困難が選別されることで「手のかかる子ほど支援が必要なのに、支援の手から落ちる。」と金澤先生は仰います。

また、中卒者への求人数は、全国で1738人と極端に少なく、高校中退してしまうと、社会的排除につながる恐れがあります。「だから絶対に中退させない」こと、そして子どもの支援が切れる18歳を前に自立への道すじをいかに作れるか、が鍵であると言えます。
貧困の連鎖を防ぐには、大学への進学率を上げることだと言われることもありますが、現実には、奨学金制度は借金に等しく(給付型奨学金は2018年開始ですが、まだまだ不足)、18歳で子ども達への支援は終わる。困難を抱えた子どもたちをしっかりと高校卒業と同時に就職へとつなぎ、自立をサポートすることが、今の社会では、大切だと言います。また、近年景気は回復傾向と言われる中、私立大学の就職率は横ばいか下がっており、大学卒業が必ずしも安定した職へ繋がるとは限りません。

理想と現実の狭間で、現実の道を選ぶ。将来を考えた決断が幾度と繰り返されていることを知りました。

教育にも福祉にも様々な課題がある中で、一人一人に寄り添い、最善の道を模索し、支援をしてきた田奈高校での実践。
ここから見える課題が、次の一手につながる政策へ。今後の提案に活かしていきます。