福祉制度と保険制度 一体でいいの?
2月27日の予算関連質問は、エネルギー政策の他に、高齢者福祉・介護保険の施策について、子育て支援と幼児教育・保育無償化について質問しました。
横浜市の高齢者福祉・介護施策
人口減少社会目前にして、横浜市の高齢者福祉や介護の課題を非常に重要です。
高齢者を支える計画として介護保険制度と高齢者に関する保健福祉事業を総合的に定めた「よこはま地域包括ケア計画の策定」が先だって議決されました。
本来、一般高齢者施策の対象者と介護保険でみるべき対象者は、別々のものでした。それが、三位一体の改革から2006年に、一般高齢者施作を介護保険の地域支援事業の中に盛り込んで介護予防という概念が生まれました。一方の介護保険事業は、保険制度であり、40歳から保険料を支払うことで将来に備え、必要になったら使うものです。こうした一体化の陰で、介護保険給付外サービスの予算は、減少の一途。2006年度から実に6割以上も削減されています。その分が、趣旨の違う、介護保険に頼らざるを得なくなる、けれども、本来目的が違う制度ですので、地域支援事業対象が曖昧になり、サービスの縮小が起こるわけです。さらに2016年から開始した介護予防・日常生活支援総合事業により、制度はさらに複雑化しています。このままでは、保険制度であった介護保険のありようは変容をし、高齢者福祉サービス全体が縮小してしまうことを危惧しています。
こうした実態に対し、市長の見解を尋ねました。
「高齢者施作全体の予算規模は、介護保険制度で大きくなっている。保険外サービスは縮小しているが、介護保険事業に切り替わっているものもあり、保険料財源を得たことにより高齢者施策は、進展してきたと考えている」
というのが市長の答弁です。
高齢者施策の予算規模が、介護保険で大きくなっているのは、市民が介護保険料を納めているのですから、当然です。保険料として徴収されて賄われる施策と福祉制度の関係について、私は質ねた訳ですが、直接お答えいただくことはできませんでした。
今回策定される「よこはま地域包括ケア計画」の基本目標は「ポジティブ・エイジング」です。前向きに歳を重ねるという意味ではとても良い言葉です。しかし、介護を必要としている人にとっては、気後れする。という印象も聞かれます。現計画から、介護保険をなるべく使わないで元気に過ごそう。というメッセージを多くの人が受け取っています。「介護保険も財政が厳しいし、どうせあてにできないんでしょ」というのは、よく聞かれる声です。元気に暮らしてゆくための高齢者施策は大切ですが、それは、介護保険とひとまとめに語るべきではないと考えます。
介護保険は保険制度として、必要なサービスを使うことで、自立を助け、生活を支えるためのものであるはずです。介護保険事業においては、サービスを使いながら「安心して歳を重ねてください」とメッセージすることこそが行政の役割ではないでしょうか?
また、介護保険制度は、3年ごとの見直しの度に、大きく内容を変えてきました。
将来を見据え、介護保険を含めた将来設計を描いていきたいものですが、3年後、どう変わるかわからない制度では、信頼を寄せることはできません。当事者はもちろん、事業者もそして横浜市も国の制度改革にふりまわされ、このままでは疲弊しきってしまいます。
今回の質問に終わらず、この課題に関しては、本来の介護の社会化という理念に立ち返り、シンプルにより使いやすく、持続可能な制度として運用されるものとなるよう、これからも諦めずに働きかけていきます。