地域まるごと子育て
6月19日は、くらしてらすにて、生活クラブ運動グループのエリア連携協議会総会が開催されました。今年度も引き続き、「子育て」「介護」「働く・就労支援」「環境」「給食」と身近なテーマで学習・調査活動をすすめ、横浜市への市民制作提案運動に取り組むことが確認されました。
そして、総会企画は、横浜市大の三輪律江先生をお呼びした、「地域まるごと子育て」学習会。地域からもたくさんの参加があり、子ども達の声も賑やかに開催されました。
「まち保育」のお話しを聞くのは今年2回目(前回のレポートはこちら)ですが、少し違う切り口からのお話で、新たな気づきに満ちた学習会でした。
三輪先生は、「まちづくり」=コミュニティデザインの専門家です。今までの開発型の都市計画は、これからの人口減少、共働き世帯の増加等ライフスタイルの変化には対応できない。というところにも「まち保育」の出発点はあります。これからの社会に合った「まち」の再構築が必要な訳ですが、その際、住む・働く・暮らす・福祉 の場である日常生活圏域を「子育ち」の観点で見直し、「乳幼児生活圏」とすることを提唱されています。
これまで、一番小さいコミュニティ単位は公立小学校学区とされていますが、地域で子育てをするには、これでは広すぎる。という訳です。確かに小学校を挟んで向こうの町の姿は、よくわからないものです。
乳幼児生活圏は=「身近」と感じる範囲であり、その距離は半径約300m
この範囲で「まち」を捉えるだけで、「まちづくり」がぐっと身近に思えるから不思議です。
「まち保育」とは、
まちにある様々な資源を保育に活用し、まちでの出会いをどんどんつないで、関係性を広げていくこと、子どもを囲い込まず、 場や機会を開き、身近な地域社会と一緒になって、まちで子どもが育っていく土壌づくりをする。
「まちづくり」の専門家である三輪先生は、「保育」は当事者ではあっても専門家ではありません。しかし「保育」の専門家だけで説いていても進まないことを、環境、心理、まちづくりなど様々な分野の人が参画することで、子どもを真ん中にしたまちづくり=「まち保育」の実現へ向かってゆくことができるのだと仰います。
そして、「まち」の中では、子育てに関係のない世代も、関係のない商店や会社も「保育」を「自分ごと」に変えてゆくことが必要です。なかなか簡単なことではありませんが、それを実現へ近づけて見せてくれたのが、保育園での「おさんぽマップワークショップ」です。青葉区「ピッピ保育園」と「家庭的保育なないろ」で実践されています。子どもの目線での「まち」を再確認することは、「まち」の豊かさを知ることに繋がります。更に、「まち」の関心を得、子どもと「まち」の人が双方向の関係を培うことで、「まち」が育つ。まちの成長へとつながっていくのです。
学習会の中では、ショッキングなデータが示されました。学童期のあそび環境の貧困化は言われていますが、その結果が幸福感に現れているというデータです。(小学高学年の生活実態および意識と将来への期待について)
◯ 一緒に遊ぶ人数別幸福感では、遊ぶ人数は、多い方が幸福度が高い。
◯ 遊び場の選択数では、遊ぶ場の選択数が多い方が幸福度が高い。
という結果です。
子どもと共に遊び、育つ、「まち」へ。
「まち保育」は、その「まち」と共に形を変え、人を変え、多種多様な姿で成長してゆくことと思います。まだまだ「まち」の再構築には課題がありますが、一方で「まち保育」の可能性には希望を感じます。私も、実践者の一人となって、進めていきたいです。