地域から、政策提案
生活クラブ運動グループで構成される「横浜エリア連携協議会」「横浜ユニット連絡会」では、例年横浜市へ政策提案を行っています。
地域で、必要な福祉事業をつくり、制度を変える運動を続けてきた「横浜ユニット連絡会」。
生活クラブの組合員は、横浜市民のおよそ1%。その声が表す地域の課題を生活者の立場から提案してきた「横浜エリア連携協議会」。
今年は111団体からの賛同を得て、26日横浜市にそれぞれの提案を合同で提出してきました。
今年は、例年の課題に加え、コロナウイルスの感染拡大による影響が、感染、その不安のみならず様々な場面で影を落としています。
暮らしへの影響、介護や子育てといった身近な福祉への課題をアンケート調査等でいち早く捉えて提案につなげました。
提案の手前では、横浜市との円卓会議を行い、子育て、高齢者福祉、障害児・者、環境、生活困窮者支援、カジノ・IRとさまざまなテーマでの議論も重ねてきました。
地域で介護を担う現場からは、ヘルパーの高齢化、人材の不足は深刻で、このままでは自分が利用する頃に訪問介護は受けられないだろうと、逼迫した状況が報告されました。
報酬は低く、効率も悪い。その上一人で訪問するヘルパーの仕事は責任も重く、特にコロナ禍においては緊張感のある現場です。
報酬が上がらなければ、仕事の評価も上がらないのは当然で、人材確保を本気で考えるならば、基本の報酬改定は必須です。
介護保険は、今、来年4月に控える報酬改定の議論の只中ですが、財務省の財政制度等審議会では、「介護報酬のプラス改定は、保険料負担と利用者負担の更なる増加につながる。」
として介護報酬の増加に否定的な提言をまとめています。(信じられない!)
私たちの提案に際し、高齢健康福祉部 松本部長もこの件に触れ、報酬アップの必要性に理解を示していました。
介護保険に関しては、厚労省、財務省、そして自治体と様々な思惑で改訂の度に現場は振り回されているような状況。
しかし、これでは介護の崩壊は免れません。将来を見据えた、建設的な議論を望みます。
子ども子育ての分野においては、今年はステイホームの影響もあり、アウトリーチ型支援の必要性が浮き彫りになりました。
産前産後ヘルパーのニーズも高まっていますが、夕方以降の支援や、きょうだい児の送迎ができないなど、使いにくさが指摘されています。
それを補ってきたのは、子育てサポートシステムですが、地域でのたすけあいに依拠する仕組みであり、提供会員の急増は見込めません。
今回、子サポの援助活動の内訳では、送迎に関するものが45%を占めており、このことからも送迎に関するニーズが実は非常に高いということが明らかになりました。
また、例年拡充を訴えてきた一時保育では、
乳幼児一時預かり事業と保育所の一時保育は、利用する側からは同様のサービスであるにも関わらず、情報が一元化されていない問題がメンバーから指摘されました。
利用する側、また地域の現場では、行政が「縦割り」によって見えなくなっている支援の隙間の課題を感じています。
そして制度と制度をつなぐことで解決が見込めることに気づく瞬間があります。
介護や子育てで生まれている不安や孤立。
地域の生活をギリギリ支えている事業者、従事者の不安や困難。
一方、行政も日々の業務にふりかかるコロナショックで、思うように施策が行き渡らないといった現実があります。
だからこそ、現場からの政策提案が、必要だと今回は特に強く感じました。
今年は、コロナ禍も深刻な上に、一方では、メンバーがカジノの住民投票署名の活動にも奔走しつつ、提案をまとめてゆく…という状況。
気持ちだけが前のめりで、なかなか足がついて来ないような日々でした。
提案は出して終わり…というわけにはいきませんが、ひと段落。
明日から、提案の実現に向け、また踏み出します。