横浜の子育て〜これまでとこれから〜
6月27日、横浜エリア連携協議会・横浜ユニット連絡会共催で『横浜の子育て〜これまでとこれから〜』と題し、
元横浜市副市長で横浜市社会福祉協議会 会長の荒木田百合さんを迎えてオンライン学習会を開催しました。
横浜市の子育て支援の仕組みを作ってきた
荒木田さんが最初に子育て支援の必要性を強く感じた1993年当時、
「子育て支援」という言葉すら使われておらず、調査を行うのでさえも
「子育ては母親が家庭で行うもの。税金を使うとは何事だ!」と言われたそう。
その状況を打破して今を作ってきたのは、市行政に関わる職員や議員、多くの女性たちのおかげと感じずにはいられません。
それから12年もの月日を経て、2005年にこども青少年局が誕生します。
それまでこども施策は市民局をはじめ様々な部局に分散していたものが、福祉的な施策を含めてひとつの局になったのも、荒木田さんの強い思いが叶った瞬間でした。その際、福祉の中に子ども施策を取り込むことに反対の声があったそうで
「真っ白な子どもが黒やグレーになる」と言われたというエピソードには、愕然とします。
たった15年前のことです。
その時代から、荒木田さんのような思いのある行政職員と、議員、地域で保育・子育て支援を作ってきた団体やNPOが文字通りタッグを組んで作ってきた横浜市の「保育・子育て支援」。
乳幼児一時預かり事業、地域子育て支援拠点、産前産後ヘルパー事業など多彩な取り組みはその頃生まれました。
子育てを知る現場や当事者の声をしっかり受け止める姿勢があってはじめて、より良い施策が生まれることの証です。
コロナの今
現在国のトッププライオリティに「自助・共助・公助」が掲げられる中、日本は、新型コロナウィルスの脅威にさらされました。
荒木田さんが現在会長を務める社協には、多くの相談が寄せられています。
その中で、自助努力(自己責任)の概念が行き渡っていることを実感しているとのお話がありました。
所持金が小銭になるまで我慢する人がたくさんいる。
どうにもならない困窮状態に陥ってからでないと行政に頼ってはいけないという風潮を感じると言います。
ギリギリまで頑張ることを強いられる社会が、コロナ禍で深刻な状況を生んでいます。
助けてと言える社会に、また言えない人に地域が手を差し伸べる社会にしていくために、
私たちは再びどう横浜を、地域をつくっていけばいいのでしょうか。
荒木田さんからの提案は、以下の5つ
●地域の中で子どもの姿を見かける仕組み。
・・・パリのような子どもが溢れる街に。
●産後ケアの充実 ショートステイ。
・・・まだまだ現状では不足している。
●養育力の弱い人はいる。地域親、地域家族を。
・・・ご飯を食べたり、何かあった時に泊まれる家をつくる。
●小中高の保育所、幼稚園のインターンなど、出産前に子どもを世話する機会を作る。
・・・子どもを持つ前に赤ちゃんの世話をしたことのあるなしが、子育ての不安にも影響を与えます。
●妊娠期から地域とのつながりを意識したコミュニティ施策。
しかし、実現には、
人を大切に 子どもを大切に、子育てを尊ぶ、子育てを楽しめる環境を作ることが大切。と考えるトップがいること
と前提条件がありました。
私たちも横浜エリア連携協議会で、横浜ユニット連絡会で、これからの子育てに関する提案を例年続けています。
提案を受け止める行政もまた「人」。その時々の情勢や政治にも左右されるのを感じます。
しかし、地域では今日も子どもは育ち、それを見守るために働く人がいる。
解決が難しい課題もあります。
荒木田さんは、「現場にこそやらなければならないことの『タネ』がある」と言います。
そこに必要なことは何か。
それを見極め、伝え続け、共に成長しあえる行政運営を私も求めていきます。
これからの望む横浜を実現する前提条件は、
人を大切に考えるトップがいること。
もう一度その条件を生み出すチャンスがもうすぐやってきます。