予算質問から 〜子どもの貧困対策と虐待対策〜 その1
こども青少年局の予算特別委員会 局別審査で質問に立ちました。
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まずは、柱の「子どもの貧困対策」から、ひとり親支援について。
ひとり親支援の拡充は評価すべきことですが、スムーズに支援を利用できる世帯はよいとして、貧困対策においては複合的な困難を抱え、支援が届きにくいところへの支援こそが重要になってくると考えます。昨今は、子ども食堂など地域で子どもを見ていこうといった機運も生まれてきています。それを高めるような方策を含め、横浜が先進的に取り組んだことから見えた課題をしっかり捉え、PDCAサイクルを短期間で回していく必要性を感じます。
ひとり親支援であれば、例えば実質ひとり親であっても、DV等から逃げていて、戸籍上に夫がいる。という場合や、ひとり親といっても祖母が養育しているような場合において、この支援が受けられない現状も伺っています。ようやく辿り着いた「一時預かり」はどこもいっぱいで定期的な支援が受けられず、制度を渡り歩くような方もいる。またそこに小学校の壁がさらに追い討ちをかける。そんな状況も見えています。こういった現状、施作の隙間からこぼれ落ちる人がいることこそが一番の問題なのではないでしょうか。こういった課題に関しての方策は、なかなか具体の対策が見えてこず、質問に対する答弁も横の連携、ネットワークを強化するといったふんわりした答えに止まりました。
困難を抱えた家庭の支援において、家庭に入っていくことできめ細やかな支援が行えるヘルパー派遣といった事業は、非常に予防的意味合いを含めて有効だと考えます。横浜市には4種類のヘルパー派遣事業(産前産後、ひとり親日常生活支援、育児支援、養育支援 *下記参照)があります。
産前産後ヘルパー派遣も頼れる人がおらず、支援の手を挙げているのにもかかわらず、その要件にあてはまらずに受けられないパターンがあるときいています。例えば、つわりがひどくて出かけることもままならず医者の証明がとれない方。子どもが5ヶ月を超えてしまった場合、お母さんの急病や通院時に兄弟児の送迎や見守りを誰かにお願いしたいといった時、この支援は受けられません。
こういった場合に、繋がれる支援には、子育てサポートシステムがありますが、利用回数も増加の一途。全体の利用会員数7272人に対し提供会員数1848人。バランスがよいとは言えない状況です。
さらに区別にみると非常にバラつきがあります。例えば対象人口数の近い金沢区と緑区を比較してみますと、金沢区の利用会員数は313人に対し、緑区は616人。提供会員数は、金沢区106人に対し緑区は208人とおよそ倍の開きがあります。このシステムを支えていく力も、区ごとに大きく違うことが垣間見えます。今後の担い手確保は大きな課題となるだろうということはすでに予見できます。
また、4種類のヘルパー派遣では、支援対象が困り度のピラミッドを描いているように思います。
産前産後支援という裾野があって、ひとり親支援があって、育児支援、養育支援となるり、養育支援ヘルパー派遣は児童相談所マターということで、虐待防止の観点からも非常に重い支援になってきます。2014年度育児支援、養育支援それぞれの派遣回数は、
養育支援:100世帯 5992回
育児支援:59世帯 1426回となっています。
ここでピラミッドが描けなくなっている。また、区ごとにみると利用が0という区もあり、機能していないのではないかという懸念すらあります。
本来は、育児支援の利用が広がることで、次の段階に至ることの予防となると考えます。この育児支援は、区役所の裁量で行われるのですが、ここが、他のヘルパー派遣の受け皿になればいいのではないか。と提案しました。
ヘルパー派遣事業だけを切り取って見ても、貧困対策、または虐待対策の課題がポロポロと見えてくると思います。
現場で手を尽くしている方々と行政の施作とが手を携えて当事者に寄り添える支援となるよう、より一層の充実が図られるよう、今後も働きかけていきます。
産前産後ヘルパー派遣:妊娠中の心身の不調等によって子育てに支障がある、又は、出産後5か月未満で家事や育児の負担の軽減を図る必要がある世帯が対象
ひとり親日常生活支援:ひとり親家庭において、日常生活を営むことが難しい場合に一時的な支援を行う
育児支援ヘルパー派遣:育児不安が強い方、精神的に不安定、不適切な養育状態にある方を対象
養育支援ヘルパー派遣:児童相談所が支援を行っている家庭に対し、虐待の再発予防を目的としている。