現場から横浜市へ。政策提案
横浜市内で活動するワーカーズコレクティブ、NPO、生協等で形成される「横浜ユニット連絡会」では、毎年横浜市へ市民政策提案を行っています。それに先立ち10月14日、横浜市の担当部局職員との円卓会議を開催しました。
介護、子育て、教育と3つの大きなテーマに沿って、意見交換を行いました。
◆介護保険
緩和した基準で行う訪問型サービス(サービスA)がこの10月からスタートしました。約800の事業所のうち、227事業所およそ3割がが既に参入に手を挙げているとのことです。緩和した基準のサービスでは資格を持たない人への報酬は現行の9割となります。小規模な事業所では、資格のない人を雇用するにあたっては、研修から一手に担う負担も大きく、新たな担い手を雇用する余裕もないのも現実です。また要支援の人へのサービスが減ることによる収入減を考えると、資格があっても、サービスを行わざるを得ない状況にあり、実質的な報酬減につながるという声がありました。
実際、局側の説明でも、新たに求人を出している事業所はまだないそうで、新たな人材の確保となるのかは疑問です。
制度改定の影響について、局はこれまで介護事業所は、増加を続けているという回答をしてきました。しかし、その内訳を見てみると、廃止した訪問介護事業所は、この2年で増加をしています。
次期改定に向けては、懸念された要介護1・2の切り離しは見送り、かわりに生活援助サービスの報酬単価を引き下げる方向で調整が進むと言われています。
サービスを提供できる事業者への締め付けは益々厳しくなり、ゆくゆくはサービスが不足する事態にも繋がりかねないと懸念は募るばかりです。
こうして、現場の声が直に届く機会の重要性を感じました。
◆教育
教育委員会に対しては、中学校で「ハマ弁」が開始となり、これまで昼食の用意ができずにいた生徒達への支援の可能性は広がりましたが、予算や申請方法など十分とは言えない状況です。また、通常は、この「ハマ弁」と「業者弁当」を選択することができることから、支援対象もその両者とすべきと提案しました。
教育委員会からは、支援対象は、経済的な困窮のみを対象としていないため、就学援助生徒を対象とする考えはない。「ハマ弁」=援助対象と思われることを危惧している。といった回答がありました。だからこそ、支援対象は、ハマ弁・業者弁当の選択制を検討すべきと提案しました。
◆子ども子育て
横浜市では、産前産後支援ヘルパー派遣事業、育児支援ヘルパー・養育支援ヘルパー・ひとり親支援ヘルパーなど、ヘルパーによる個別支援は様々行われています。家庭に入ることで、現場では様々な事例に出会っていますが、個別の検討会などに加わるケースが少なく、もっと検証・評価が必要であるという意見がありました。これらのサービスの重要性を再認識し、活かしてゆける仕組みづくりが必要だと思います。
また、それを担う側、産前産後ヘルパー事業者などは、10年間補助金額が変わらない状況とのこと。最低賃金が上がり、社会環境が変わる中で、現状は切実です。この見直しは急務と思います。
放課後等デイサービスの急増に追いつかない特定相談支援事業所の不足は深刻で、療育センターと学齢期の繋がりが希薄になり、支援が途切れるという指摘もありました。
そのほか、一時預かりや、放課後支援についてなど、活発な意見交換がありました。
待機児童対策にばかり目が行きがちですが、子どもと離れる支援ばかりを充実させるのではなく、在宅子育ての支援の充実は大切だ。という発言が、局側の課長からもあり、多様な受け皿確保の方向性を確認しました。