介護保険どこへ向かう?見直し議論はいよいよ大詰め

第86回社会保障審議会介護保険部会を傍聴してきました。いよいよ、次期改定に向けて介護保険の審議は大詰めです。

注目される「制度の持続可能性確保の検討」として、挙げられているのは、以下の6つの検討事項。

1.補足給付に関する給付の 在り方
2.多床室の室料負担
3.ケアマネジメントに関する給付の 在り方
4.軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方
5.高額介護 サービス費

6.「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準

特に私たちが署名と共に要望しているのは、
●要介護1・2を地域支援事業に移行せず、介護保険給付で行うこと。
●ケアプラン作成は有料化せず、保険給付で継続すること。
の2点は、それぞれ4番、3番にあたります。

審議会委員の中でも、現場や当事者を代弁する委員から、
・要介護1・2の中には、認知症の割合が高く、決して軽度者ではない。
・総合事業の受け皿が広がっていない状況では、時期尚早。
という声が繰り返し聞かれました。
(時期尚早というより、移行すべきではないと思いますが)
また、ケアマネジメントは、認定を受けた人の入り口であり、入り口が有料化すれば、相談の機会を失う人もいる。と懸念も示されました。
当事者団体を代表する委員は、先日ニュースとなった介護トリプル殺人を例に挙げ、
こうした事例も、介護のサービスにつながっていたら、ヘルパーがいたなら、と心が痛む。
制度の持続可能性の確保のために、日常の必要なサービスを抑制していいのか!
と強く訴えていました。
日々の生活援助があって、生きている人たちにとって、こうしたサービスは命綱のようなもの。軽度者と呼んで的外れな財政論を盾に「保険」でありながら、給付から外す。という乱暴な制度改定は、行うべきではない。と改めて感じます。

たくさんの傍聴者で埋まった会議室。審議に多くの注目が集まります。

社会保障審議会介護保険部会では、年内にはとりまとめ案が提示されると予想されます。

しかし一方の全世代型社会保障検討会議の行方も気になるところ。
昨日の会議においては、75歳以上の医療機関での窓口負担の引き上げなど、医療分野の給付と負担の在り方などが検討されたそうです。介護分野については、医療より更に長期にサービスを受け続ける側面もあり、同列では語れないと考えますが、どうなりますことやら。
次の会議では、いよいよ「介護」が検討されるのでしょうか?全世代型検討会議は、審議も不透明。
また、この会議での議論と、今日の社会保障審議会の議論。ほぼ同時進行で進む二つの審議をどう捉えていいものか、いまひとつ見えてきません。

多くの人が固唾を呑んで見守る議論の行方。向こう側の人には、是非とも介護を受ける人、担う人。そして将来の社会像に想像力を持って検討にあたってほしいと思います。

ところで…社会保障審議会委員には、神奈川県黒岩知事も名前を連ねています。
今日は、知事の姿はなく、代理の委員でしたが、
「介護保険制度の見直しは、早い段階でお示しいただければ・・・」との発言。
県も(横浜市も)「国の動向を見極める」は、常套句ですが、審議会でも待ちの姿勢が垣間見えてしまった。