旧市庁舎売却の妥当性は、誰の目線か?

旧市庁舎の売却および定期借地に関する契約が、昨日予定どおり行われたと、山中市長は9月30日の会見で明らかにしました。
旧市庁舎は、関内駅前の一等地に立ち、新市庁舎が建設される2020年まで、この地で60年に渡って市政の中心として活用されてきました。市は一昨年、この市庁舎跡地を再開発するにあたり、提案を公募、三井不動産を代表とする8社のグループが選定されました。行政棟を保存活用する形で建物は約7700万円で売却。土地は77年の定期借地として年約2億1千万円で貸付されることになります。

新庁舎供用開始直前の旧庁舎の議会棟。この景色は、もう見られない。

この問題については、市民・議員から批判の声が相次ぎ、議員、市民団体がそれぞれ住民訴訟を起こしている他、本契約の一旦停止を求める署名活動も行われています。
去る16日の一般質問では、平田市議も質問に立ち、市長は「価格算定の妥当性について確認する」「妥当性が認められなかった場合には、代替プランの検討を考える」と答弁しました。
それから契約まで、この間たった2週間。
市長は改めて不動産鑑定業者に評価を依頼、売却価格について「妥当」との結論に至ったとのこと。
そもそも市民の声を受けて妥当性を確認するとした市長ですが、(市長会見資料)結局、市民への説明の場は特に設けられることはなく、記者会見は契約の後でした。

X,Y社は、新たに不動産鑑定を依頼した業者

旧市庁舎は、2009年に約50億をかけて耐震工事が行われています。売却価格の設定において、この耐震補強は、今回の新たな算定結果でも評価はされませんでした。
新市庁舎建設の際も、その必要性と共に旧庁舎の活用は議論されてきたことです。(当時のレポート
あの耐震補強はなんだったのか・・・
さらに歴史的価値も評価に値しないとされ、旧庁舎が単なる古い建物としてしか評価されないのであれば、活用計画そのものを見直すべきだったのではないでしょうか?
市長が交代し、山中市長には、改めて市民の財産を最大限活かす決断をするチャンスがありました。
一旦契約を立ち止まり、検討し直すべきだったと考えます。

市長に、自身が施政方針の中でで目指した「オープンで風通しの良い市政運営」を期待していた市民の一人として落胆を禁じえません。