神奈川県ギャンブル等依存症対策推進計画改定に向けて

8月31日、神奈川県ギャンブル等依存症対策推進協議会がオンライン開催され、傍聴しました。
今年は、神奈川県ギャンブル依存症推進計画の改訂年度にあたりますが、今年度は、初開催です。

協議会の委員は29人、医師や行政関係、また当事者及び家族団体と多岐にわたります。
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「神奈川県ギャンブル等依存症推進計画」は、2021年に「ギャンブル等依存症対策基本法」に基づき策定されました。改定にあたっては、第1期では、対策が示されなかった「カジノ」及びオンラインによるギャンブル(・オンラインカジノ・ゲームにおけるガチャ機能・公営競技のインターネット投票)の対策がどのように示されていくか、に注目しています。

この日の会議では、神奈川県から2期計画に向けての「骨子」が示され、各委員から意見が出されました。骨子の中では、「カジノ」には触れていませんでしたが、現状を踏まえた課題提起がありました。各委員の意見も、ほとんどがオンラインによるギャンブルに関するものでした。

弁護士会の松岡委員からは、公営ギャンブルのインターネット投票に関して、破産被害者の事例が紹介されました。競馬にハマっていた人が、キャリア決済ができるという理由で競輪に変えた。とか・・・キャリア決済であれば、スマホ一つで足りなければ、お金が借りられる。ということで、さらなる被害につながることを痛感したというお話でした。
オンラインカジノに関しては、違法であるにも関わらず、YouTubeなどで、「賭博場を開いている人が処罰されない限り利用者が処罰されることはない。カジノは海外にあるので、捕まることはない。」といった誤った情報が散見される。違法であることを全面に出すべき。と提案がありました。
それに対して、北里大学の朝倉委員からは、オンラインカジノの検挙数はほとんどなく、捕まらない。この計画の中で、取り締まることはできないので、その現状を踏まえて、公営ギャンブルのオンライン化など、リスクが上がっていながら広報の少ない分野を広報すべきとの意見がありました。

県立精神医療センターの小林委員は、一流大学の学生が、大リーグのオンライン賭博にのめり込み、1年経たずして数百万の負債を抱えた例を挙げ、リスクの高い人に情報を届けることの重要性や、ネット広告を経由したオンライン賭博の曝露状況といった調査の必要性が提起されました。

神奈川県精神保健福祉センターで実際に相談事業を行なっている井上委員からは、オンラインギャンブルに関する相談が増えている。若い人の相談が多いが、病気だという認識が薄く、治療につながらないという実態もある。との報告がありました。

神奈川県司法書士会 植松委員は、若い人からの相談、債務整理が多い。携帯を使うことによって、より安易に失敗もしやすくなっている。発達の問題、メンタルヘルス、家族の問題などもともといろんな問題を抱えていて、不具合の1つとして、ギャンブルがある場合が多い。自殺も増えている。若者支援をどうするかという視点が必要。と提起がありました。

全ては紹介しきれませんが、それぞれの分野で依存症問題に関わっている委員からの課題提起は重要で、こうした意見を踏まえて、実行力ある計画策定につながることに期待し、私も引き続き働きかけを続けていきます。

当局からは、いずれ、アルコール計画と一本化することを考えている。との発言もありました。

計画策定は、来年2024年3月の予定。
今年末には素案の公表が予定されています。

当日資料は、こちら