不登校支援の現場からーこどもまんなか社会を社会を考える

ミニフォーラムを開催

11月30日にミニフォーラム「こどもまんなか社会を考える〜不登校支援の現場から〜」をスペースナナにて開催しました。
当日は、当事者保護者や支援者、教員とさまざまな立場で不登校の現場に関わる人が集まりました。
前段は私から不登校の現状。国、神奈川県及び横浜市の不登校支援施策についてなどを共有しました。その後、教員から校内教育支援センター支援員を経験し、現在は「Cometセミナー」で不登校支援に携わる南部聡子さんにお話をいただきました。参加者同士の熱のこもった意見交換は、時間が足りず延長して続くほど。

不登校と支援の現状
不登校児童生徒数は、県内で約23000人(内横浜市約9700人)で過去最多を更新し続けています。
横浜市では、不登校急増に対応する支援策として、今年9月から「校内教育支援センター」(=校内ハートフル)の全校配置を、計画を前倒して実施した経緯があります。しかし、学校では、空室の確保等に苦慮する学校もあり、すぐに不登校支援として機能するのは難しく、混乱しているのが現状です。

不登校支援というと、長らく「学校へ戻る」ことを目的として行われてきましたが、今では、個別最適な多様な学びを保障する。「誰一人取り残されない学びの保障」へと変化しています。先日の神奈川県議会本会議においても花田教育長から「不登校は問題行動ではないという認識を広げる」と言う答弁がありました。

しかし、現実は、どうでしょうか?

校内教育支援センター(ハートフル)の現場では、「ハートフルの教室から笑い声が聞こえて他の生徒が行きたがると困る」といった教員の声。「学校なんだから学習以外のことはすべきでない」といった学校のスタンスなど、無理解が大人の側にまだまだ根強いと言います。当然、こうした考えは児童生徒にも伝わり、「教室に帰る呪縛」が存在している状況です。

南部さんは「教室に甘えている子は一人もいなかった。」と言います。参加した保護者からは、現実に「不登校がこどもの心のキズになっている」と。
「問題行動ではない」と言われながら、現実には社会がこどもたちを追い込んでいる状況があると言わざるを得ません。

個別最適な学びの保障

また、個別最適な学びの保障が、まだまだ守られているとは言えない状況もあります。
文科省の調査では、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない不登校児童生徒は、全体の4割にのぼります。

多様な学びを支えるフリースクールは、2016年に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の審議の際に、その位置付けに議論がありました。「学校以外の場において行う多様な学習活動に対しては、その負担の軽減のための経済的支援の在り方について検討し、その結果に基づき必要な財政上の措置を講ずること。」という附帯決議がついたものの、財政的な支援が乏しい現状が課題として残されています。

神奈川県教育委員会では、神奈川県学校・フリースクール等連携協議会を持ち、いくつかのフリースクールと連携した支援を行っています。また、福祉子どもみらい局で「神奈川県フリースペース等相談事業費補助金」で一部のフリースクール等には補助を行っていますが、運営を維持していくのは厳しく、その負担は利用する側にものしかかってきます。

理由はともかくとして、こどもたちが、多様な学びを求めていることは、不登校数の増加が示しているのではないかと思います。

「社会は変わった。大人はどうだ?」と問いかけられているような思いです。学びのあり方の変化に対し、対応できていないのは大人の側、大人の都合ではないのか?

このミニフォーラム、開催後にも様々な反響をいただき、不登校の課題が大きいことを感じています。引き続き、当事者や現場の声を、活かしていきます。