神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク 〜2024年度の決算審議から〜

認知症に関する世論調査

2025年現在、65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症の人、またはMCIと呼ばれる予備軍と推計されており、65歳未満で認知症を発症した「若年性認知症」の人も全国で約3.6万人と推計されているとのこと。認知症に係る施策の推進と社会理解が進むことが今後一層望まれています。

先日内閣府が公表した「認知症に関する世論調査」によれば、認知症基本法が成立したことや、その内容について、知っていますか。との問いに対し、75.8%の人が「知らない」と答えている。2024年1月に施行した法の認知度が低いことが浮き彫りとなりました。

同調査では、認知症になった場合の暮らしについて、「医療介護等のサポート利用して地域で生活したい」が27.4%で最も多く、次いで「周りに迷惑をかけるので施設で暮らしたい」が27.3%とほぼ同数。認知症への恐れや不安、対応や理解も様々であるということが想像できます。

 

以前、スペースナナでボランティアの皆さんが作製していた「認知症マフ」中に色々なものを縫い付けておき、手を入れて触ることで心を落ち着かせる。というもの。

認知症に土日はない!

11月24日の決算特別委員会では、認知症高齢者施策推進事業費の中から、「神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク」を取り上げました。
認知症になっても足腰が丈夫であれば出かけたり、散歩へ行ったり、というのは自然なことですが、突然一人で出かけたまま帰って来られなくなるということが起きる。という経験を私も持っています。SOSネットワークは、そんな時に地域で見守りを強化するなど、各自治体が取り組んでいます。
認知症の私の義母は、出かけたまま帰れなくなることがあったため、川崎市でネットワークに登録しました。いざ行方不明になったある日、ネットワークに支援をお願いしようとしたところ、(その日は土曜日だったのですが)役所の閉庁日には運用していない。と言われたのです。
認知症に土日祝日はないのですよね・・・。
当時の神奈川ネットの大西いづみ川崎市議が議会で質し、川崎市では、改善がはかられたとのことです。
しかし、義実家は市境に近いので、深刻な場合には、広域の捜索が必要になります。まさにそれを担うのが、「神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク」です。今回の質疑で分かったのは、やはり神奈川県でもこのネットワークの運用は閉庁日には行われていないとのこと・・・認知症の人には自治体の境が見えるわけではなく、お出かけに平日土日は関係ないのです。この件は、早急に対応が必要です。

事前の心構えの必要性

また、多くの人にとって、認知症は突然直面する大きな問題です。高齢者のひとり歩きも、それまでは何事もなく帰宅するものが、突然帰れなくなる事態が起き、大きな事故にもつながりかねず、何より家族にとっては深刻な状況が生じます。
そうした際に困らないためのSOSネットワークではあるが、事前の登録が必要であること、またこうした事態に直面した際に家族が、どんな風に対処するべきなのかをすぐに知ることができない。という課題があります。
義父は、義母が行方不明になった際、慌てて車で捜索に出かけ、車を擦っていました。大事に至らず本当に良かったと思いますが、事故になる可能性だってあるとヒヤッとしました。

家族が認知症になった際に、なるべく事前に登録してもらうことや、何より落ち着いて対応すること、警察や市町村の窓口に伝える際の参考などをまとめ、県が率先して広報啓発することを提案しました。

認知症になっても、安心して暮らせる地域社会に向けて、引き続き働きかけていきます。