ドキュメンタリー映画「桜の樹の下」上映会開催しました
川崎市の市営団地を舞台に、一人暮らしの高齢者を描いたドキュメンタリー映画『桜の樹の下』
自主上映会(主催:映画を観る会)を25日開催しました。
直前の19日に発表された毎日映画コンクールで、ドキュメンタリー賞を受賞したという嬉しいニュースも飛び込んできました。
監督は、なんと20代の女性田中圭さん。なぜ20代の監督が、このテーマを取り上げたのか、ぜひ話をきいてみたいと、監督をお呼びしてのトークショーも企画されました。さらに、森ノオト北原まどかさんとのクロストークが実現。
ほぼ満席!大盛況での開催となりました。
幼い頃からずっと川崎に暮らしているという田中監督。自分が暮らす町を「ふるさと」として感じられなかったが、撮影を通じて、段々と故郷を意識するようになったそうです。
「撮影当初は、もっと挑戦的な映画を作ろうとしていた」という発言には驚きました。それが徐々に素直に「日常を淡々と見せることがいいのでは?」と、思いの変化を経て、この映画の独特な空気感が生まれました。
また「死」というものをどんな風に扱うかは、スタッフの間でも議論が分かれたところ。高齢独居の住民が多いこの団地では「死」という存在が近くにあり、淡々と語られる。それを敢えて表したかった。と監督は語っていました。
北原さんからは、私たちが暮らすエリアの高齢化の現状に触れてお話がありました。
横浜市では、60.2%核家族、33.8%単身世帯。そして8.1%はひとり親世帯です。
(ちなみに映画の舞台となった団地では、8割が単身世帯)
青葉区の高齢化率まだ他の地域に比べれば低い方ですが、団地エリアは、軒並み高齢化が進んでいます。
青葉区内の平均年齢を見ると、世帯数が極端に少ない成合町、寺家町を除けば、映画を上映したすすき野は1位(51.6歳)、2位奈良町(50.1歳)と続き、団地のある青葉台、鴨志田、あざみ野も青葉区平均の43.2歳を超えています。
これからの社会において、団地のコミュニティ再生は大きな鍵になる。と自らも団地に暮らす北原さんは語っていました。
質疑応答の中で、結婚しない若者が増えている昨今、これからの社会は、単身世帯はますます増えるだろう。将来の姿そのものかもしれない。という感想がありました。
それに対して田中監督からは、若い世代は、この映画に「希望」を見ている。こんな風に人生の最後が迎えられるなら、きっと大丈夫だと感じているようです。というお話がありました。
この映画は、人の逞しさ、そして様々なことを削ぎ落とした後の「生きる」ということを、私たちに見せてくれているかもしれません。