海のプラスチック汚染と使い捨てプラスチックの削減 〜生活クラブ横浜北 FECラボに参加して
生活クラブ横浜北 FECラボ「水環境編」の学習会に参加しました。
『海のプラスチック汚染と使い捨てプラスチックの削減』
というタイトルで、東京農工大学農学部環境資源科学科 高田秀重先生のお話を伺いました。
マイクロプラスチックの引き起こす環境汚染は、全世界的な問題として取り上げられています。しかし、それが、私たちの日々の営みから生まれた問題であることに気づいている人は、どれくらいいるでしょうか?
マイクロプラスチックとは、5mm以下の細かなプラスチック片を指しますが、これは、元をただせば容器包装と日常使われたプラスチック製品由来です。ペットボトルや、レジ袋といったプラスチックが、風に乗って、水に乗って、海に集まり、紫外線にさらされ、水に揉まれ細かく細片化したものです。
プラスチック製品は、年間4億トン作られており、その半分が容器包装です。リサイクルされているのはたった13%。ゴミ回収にも出されず捨てられたものは、マイクロプラスチックとして、消えることなく海水に紛れてしまうことになる。作られるプラスチックの量の一定数が、こうして環境汚染につながるのだと、高田先生は警笛を鳴らします。
容器包装と製品プラスチックの他に、身近なマイクロプラスチックの発生源
・ポリエステル、フリースなどの化学繊維
1着のフリースを洗濯すると、なんと約2000本の細かな化学繊維が放出されるそう。
・レジンペレット
プラ製品を作る原材料。地面に落ちて、雨で洗い流されます。
・マイクロビーズ
洗顔フォームなどに入っている1mm以下のスクラブ
日本では現在は自主規制されている
・メラミンフォームスポンジ
よく汚れが落ちるし便利ですが、細かくなったスポンジは、下水に流れていきます。(ちなみに、スポンジは、セルロース製が先生のおすすめ)
既に5兆個のプラスチックの破片が海を漂い、太平洋のど真ん中には、ゴミベルトが存在します。
これを大型の海洋生物が摂食し、栄養失調等で死に至るケースは、多く報道されている通りです。さらに、調査を行なった全ての渡り鳥の消化器官からは、マイクロプラスチックが確認されています。その量は、人間の体に換算すると平均約60gにもなります。このマイクロプラスチックが、栄養失調のみならず、体内で、含まれる有毒物質を発することになります。既に小魚や二枚貝からもマイクロプラスチックは検出されていますので、我々の体内にも当然入ってきているはずです。
プラスチックに含まれる有害物質は、製造の際に使われる添加剤が主なものですが、海に漂う有害物質をもプラスチックは吸着し、運びます。これらが、いわゆる環境ホルモンとして、子宮の病気、精子数の減少といった影響が懸念されています。
有害物質は、摂食した生物の体内で溶け出して生物組織に移行・蓄積します。
現在のところ、生物への有害物質の影響は確認されていませんが、同様の物質の濃度を増やした実験からは、影響があることが証明されており、このままマイクロプラスチックが増加した場合の影響は避けられません。
国際的には、規制が進む中、日本では、一人年間300枚ものレジ袋が消費されているという現状。リサイクルされたと思ったプラごみも、海外に輸出されているかもしれません。最も有効な対策は、プラスチックを減らすこと。
高田先生のお話を聞いて、日々の生活を見直してみました。
・レジ袋やストローを断る。
・水筒を持つ。
・使い捨て食器を使わない。
・フリースは着ない。なるべく天然繊維の物を身につける。
・スポンジを変える。
なかなか全てを完璧には出来ないけれど、日々心がけます。
そして、行政に対しても、プラごみ減量の取り組みを働きかけて行きます。