IR(カジノ)基本方針案にパブリックコメント

「第二回IR(カジノ)整備法に基づく「基本方針案」に関するヒアリング」衆議院議員会館にて開催されました。

IR整備法に基づき基本方針案に対し、パブリックコメントが募集され、10月3日にも締め切られます。
9月30日、第二回となる「第二回IR(カジノ)整備法に基づく「基本方針案」に関するヒアリング」
に参加しました。
これだけ、各地で反対の声が上がり、合意のあり方に疑問が投げかけられる中、基本方針には、その重要性は説かれていません。
パブコメの期間も短すぎる!

私は、以下の内容でパブリックコメントしました。
ぜひ、たくさんの意見を!
拙い内容ではありますが、ヒアリングに参加されていないみなさんには、参考にしていただけると幸いです。

 

 

参考資料)観光庁 基本方針案
内閣府 IR整備法について説明資料
パブリックコメントは、こちらから

以下、青木マキ意見


1、IR整備法では、カジノ管理委員会は、事業の選定から、運用に渡って、非常に重要な役割を帯びた機関として設置が定められています。これまで示されている『開業までのプロセス』には、「カジノ管理委員会の設置後、国土交通大臣は、基本方針を策定し、公表」と明記されています。このプロセスを無視し、基本方針案がカジノ管理委員会の設置に先んじて作成されたことは、法を逸脱しており、それに関しては、説明すらありません。基本方針案自体を撤回すべきと考えます。

2、カジノは、その影響が非常に大きく、地域住民にとっては、大きな関心事であり問題です。
市民に対しては、説明の機会もないまま、その基本方針を定めるためのパブリックコメントが、プロセスを捻じ曲げて、ひっそりと行われた上に、最低期間30日というのは、あまりにぞんざいです。パブリックコメントを延長して、広く意見を聴取すべきです。

3、P5
「地域における十分な合意形成を図るために必要な枠組み」として、挙げられている4つの具体策は、地域住民の直接合意の場としては、不十分です。どの自治体においても、経験のない危険な賭けに踏み出すか否かを決めるには、最も厳密に住民の意思確認をすることが必要です。合意形成の方法として、住民投票の実施といった直接市民が意思表示をできる機会を基本方針の中に定めるべきです。

4、P16
ウ検討結果の通知及び公表
(ア)都道府県等は、民間提案を踏まえた実施方針を定めることが適当であると認めるときは、その旨を、当該提案を行った民間事業者に速やかに通知することが望ましい
P18
(3)基本方針が公表される前から進められている手続の取扱い
都道府県等による実施方針の作成や民間事業者の公募及び選定は、基本方針に即して行われることが求められる。
他方、IR区域の整備の内容を優れたものとするとともに、IR区域の整備による効果を早期に実現させる観点から、都道府県等において、基本方針が公表される前から、実施方針の作成や民間事業者の公募及び選定のための手続等を進めておくことも想定される。
といった、民間事業者の公募・選定をIR整備法の定める手続に先行して行うことができるかのような記述があります。IR整備法に関する実務者説明会等においても、『開業までのプロセス』を示し、「IR整備法に定められている手続き及びその手順を示しているので、これに従っていただく必要がある。」と答えており、これまでの姿勢と矛盾します。基本方針がないままに手続きが水面下で進むことを許すかのような記述は、透明性の観点からもあるまじき事です。

5、P35~39
事業の運営の継続が困難となった場合や、認定が取り消しとなった場合などのリスクに関しては、具体的な対応策は一切なく「実施協定に定めるべき」という記述に留まっています。国家プロジェクトで進めると言うのであれば、本来そのリスク対応策は、まず国が示し、最終的なリスクの分担も負うべきです。基本方針でありながら、肝心な「策」に一切触れていないのは、乱暴と言わざるを得ず、リスクヘッジは全て自治体まかせという姿勢に憤りを感じます。

以上5点、基本方針に対し意見を申し上げます。

カジノが生み出す利益は、誰かの損失の上に成り立つものであり、その損失は、経済のみならず、心身の健康に関わる場合もあります。また、カジノは周辺地域の消費を吸い上げ、存続には、地域社会の犠牲が伴います。市民の利益を損なうことを良しとする産業を国が率先して行うことがあってはなりません。

また、ギャンブル依存症に関しては、実態把握は非常に難しく、ギャンブル依存対策については、エビデンスも立証されていない状況。そもそもカジノ事業の成功には、負け続ける人が必要となり、ギャンブル依存が不可欠要素だと言えます。IRは、国民の心身の健康を危険にさらすことにつながります。

人口減少社会、超少子高齢社会を迎え、自治体も国もその対策を積み重ねてきたはずです。それを否定し、世界的にも斜陽産業となりつつあるカジノに活路を見出す国家戦略に、私たちの未来を委ねることはできません。統合型リゾート(IR)整備推進法(カジノ法)を撤廃し、本来の豊かさに着目した行政運営で、これからの日本の発展を目ざすことを求めます。