戦後70年<戦争が奪ったもの>をたどる

16歳年上の兄薫治さんについて語る寺尾絢彦さん

本日10月10日は、あざみ野スペースナナで開催された
『戦後70年<戦争が奪ったもの>をたどる「学徒出陣を前に自死した兄」』に参加、寺尾絢彦さんのお話を聞いてきました。
寺尾絢彦さんの兄薫治(のぶじ)さんは関東大震災があった1923年生まれ。2年後には治安維持法が制定され、戦争への道を進む日本。
戦争が始まって言論統制がされても「こんな戦争勝てるわけない」と口にして憚らなかった薫治さんも、やがて学徒出陣となり・・・入営直前に自死を選びます。
薫治さんが歩んだ壮絶な20年を、弟である絢彦さんが語ってくれました。
薫治さんが選んだ道。非国民と呼ばれ、息子を失った母や父の思いや苦しみ。戦争というものの複雑な痛み、悲しみを垣間見た思いがします。

戦争を美談にすることの危うさ。
単純化したり、耳に心地よい言葉で本質が見えなくなることがある。だから平和な時こそ戦争について考えることが大切だと。
また、大人の考えを変えるより、子どもに思想を植え付ける方が早道。だからこそ、教育の大切さ、怖さというものをしっかり理解しておかなければならないと、絢彦さんは強く訴えていました。
戦争の体験した生の声を聞く機会がどんどん失われていく中で、私たちが、その思いを経験をしっかりと受け継いでいかなければ。と改めて感じました。

ギャラリーに展示された矢野金治さんの葉書

ギャラリーでは、薫治さんの遺品のほか、
~戦地から届いた父からの絵手紙~と題し
1942年に満州に出征し、1歳の娘と妻の日常の様子に思いをはせながら描いた絵入りのはがきを送り続け、45年7月に35歳でフィリピンで戦死された矢野金治さんのやさしくユーモアあふれる文章に挿絵、漢詩、俳句などが添えられた葉書が展示されています。
ユーモアと愛情に溢れる絵葉書に、涙が止まりませんでした。
こちらは、18日まで展示されています。ぜひ多くの方に見ていただきたいです。