輸入食品の現実
11月24日、54年ぶりの早い初雪が降り、寒い寒い朝、山下ふ頭に集合し、大河原まさこさんのコーディネートのもと、輸入農産物の保管の現状について奥村芳明さん(港湾労働組合執行委員長)にお話を伺いました。
まずは、実際に輸入食品が保管をされている倉庫を見学しました。
グリーンの倉庫は、骨組みに布を張ったテント倉庫と呼ばれる非常に簡易なもので、夏場は相当に気温が上がることが容易に想像できます。そこに木の箱、ポリタンク、ダンボール箱が無造作に積まれています。冬はまだしも、夏場もこの状態ということ。俄かには信じられません。
木箱の中には塩漬けのミニきゅうりがびっしり。きゅうりと言われなければ分からない茶色く変色し、箱を開けた途端、なんとも言えない異臭が辺りに充満しました。葉唐辛子、小ナス、大根と旅のお土産に変身しそうな塩漬けの食品が次々と・・・。衛生状態は、まさか食品がここに?という状況。それでも、虫も鼠も寄ってこないのは、なぜでしょうか?推して知るべし。
食品衛生法は?こんな状況のものが、私たちの口に入るはずがない。
と思うところですが、原材料として輸入されるこれらの食品には、食品衛生法は適用されないのだそうです。ショックでした。
輸入食品は、ほとんどが事前の書類検査で日本に入ってきます。現物検査が行われるのは、たったの2.6%。その為、消費された後に違反が発覚する事態は後を絶たないとのこと。しかもペナルティはほとんど課せられません。実際に2003~2014年までのおよそ10年で290件農薬や菌の基準値越え等の違反事例がありました。ほとんどが消費され、その後健康被害など影響があったかは、全くわかりません。
日本の食料自給率は現在39%。穀物自給率は世界125位。食料不足が言われている北朝鮮より下位にいる状況です。今後穀物は世界的に不足をするという予測がされています。将来的に穀物を握る国が、他を支配する世の中が来るのかもしれません。
日本の農業を守り、発展させることは、日本の将来を守ることであるはずなのに、日本は逆光している。と奥村さんは言います。輸入量は増えつづけ、日本の自給率は下がってゆく・・・。800万トンの米の消費量は、TPPによって700万トンが輸入に変わり、自給率は14%に落ち込むと言われています。
奥村さんからは「日本の食料と農業は今が正念場だ」と指摘がありました。
「消費者の食卓の向こうには、日本の農業がある。」という言葉が印象的でした。外食や、加工品の多くは、安価な輸入食品に頼っているのが現状です。まずは自分の食卓を見直すところから・・・しかしあまり猶予はないようです。