北東アジアの軍事によらない安全保障体制の構築に向けて

5日、『北東アジアの軍事によらない安全保障体制の構築に向けて』連続学習会を、NPO法人ピースデポ共同代表 湯浅一郎さんを講師にお迎えし、開催しました。
第一回は、「朝鮮半島を取り巻く課題 ~これまでとこれから~」と題し、激動の朝鮮半島情勢を振り返りました。
昨年の今頃は、まさに長距離弾道ミサイル・核開発をめぐり緊張が高まっていた時期。この一年で状況が一変したかに見える朝鮮半島情勢ですが、「歴史の流れの中で今がある」と湯浅さん。
この流れがつくられた背景を紐解き、恒久平和的な方向へ向かう為の方策を探ります。
1953年朝鮮戦争の停戦協定が結ばれてから、65年。
ヨーロッパでは、1990年のベルリンの壁崩壊により冷戦終結を迎えるも、北東アジアでは、湾岸戦争に引っ張られ、長きに渡って不安定な停戦状況が続きます。
米韓合同演習に対抗する北朝鮮の核・ミサイル開発という対立構図が、互いの偏見を助長し、軍事力による安全保障のジレンマ(悪循環)が生まれてしまった。と湯浅さんは解説。
それを打破しようと動いたのが、新たに生まれた韓国の文在寅政権。

世界の核弾頭数は、冷戦時代最高約7万発(1986年)に。現在は、14930発


文大統領は、「新朝鮮半島平和ビジョン」のもと、この激動の一年を牽引したと言えます。
昨年の「ロケットマン」発言の応酬に揺れた国連総会で、文大統領の演説は冷静、且つ平和的にしたたかです。
「朝鮮戦争は未だ終結していません。(中略)不安定な停戦体制と北東アジア最後の冷戦秩序としてのこっています。戦争を経験した世界唯一の分断国家の大統領の私にとって平和は人生の使命であり、歴史的な責務です。私はロウソク革命を通して戦争と紛争の絶えない世の中に平和のメッセージを送ったわが国民を代表しています。」
文政権は、前のパク・クネ大統領の不正疑惑に対する韓国市民の怒りが生み出した謂わば「市民の政権」。
韓国民衆の声が、平和的統一に向けた今の状況を生み出したと言えます。
そして迎えた4月27日南北首脳会談。板門店宣言で注目すべきは、「朝鮮半島にはもはや戦争はなく、新たな平和体制の時代が開かれたことを8千万のわが同胞と全世界に厳粛に宣言したい。」との冒頭の両首脳の宣言。つまり南北両国が自国を戦場にしないと合意したことこそが、この宣言の真髄だと湯浅さん。
市民の声が大きな世界史の1ページをめくろうとしている今、
さぁ、日本の果たすべき役割は?
そして、軍事によらない人間の安全保障体制に向けて、私たちの「打つ手」を考えていきます。
次回に続く!