ギャンブル等依存症問題啓発週間特別セミナー
ギャンブル等依存症問題啓発週間特別セミナーに参加しました。
ギャンブル等依存症問題啓発週間にあわせて開催された特別セミナーに参加しました。本セミナーは、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会と、全国ギャンブル依存症家族の会神奈川の共催により行われ、基調講演、当事者・家族の体験報告、そしてIRカジノに関する課題など、多角的な視点から学ぶ機会となりました。
基調講演
「300人のギャンブル依存と呼ばれる人たちから医師が教えられたこと」
北里大学医学部精神科学助教/板橋ファミリークリニック院長
朝倉崇文さん
講演では、ギャンブル障害は「意志の弱さ」ではなく、脳の回路が変化する病気であることが強調されました。
ギャンブルを繰り返すことで、報酬や動機づけに関わる脳の回路が変化し、「やめたいのにやめられない」状態に陥ります。一方で、脳は学習によって変化するため、適切な支援や環境の中で回復していく可能性もあることが示されました。
- ギャンブルについて嘘をつく
- 「取り返す」という思考にとらわれる
といった点が挙げられ、多くの当事者に共通して見られるとのことでした。
対応については、単なる行動制限だけでは、
- 本人の主体性が損なわれる
- 問題の本質的な解決につながらない
といった課題があり、回復には - 再発の要因を取り除くこと
- 新しい生活スタイルを築くこと
が重要とされました。
さらに、ギャンブル障害の背景には、
「目先の安心を優先し、将来を軽視しやすい傾向」があり、これはADHDや強迫性障害などとも共通する側面があると指摘されました。
回復に向けては、
- 気分が安定する環境づくり
- 正直に話せる場(家族以外の場)の確保
が重要であり、「耳を鍛える(人の話を受け止める)」ことの大切さも印象的でした。
当事者・家族からの報告
当事者の体験
ギャンブルによる借金や家庭内での問題行動を経験し、「借金を返すためにさらにギャンブルをしてしまう」という悪循環に陥った実体験が語られました。
回復の過程では、PRM(プレッシャー・リリーフ・ミーティング)を通じて夫婦間の共依存が明らかになり、別居という決断に至ったとのことです。
「誰でもなる、誰でもなおる」という言葉が強く印象に残りました。
家族の立場から
家族の側からは、
- 家庭内での窃盗
- お金を渡さない対応の限界
- 借金発覚時の深い苦しみ
など、切実な状況が語られました。
現在は全国47都道府県で家族会の設立が進んでおり、横浜市のホームページをきっかけに支援につながったという報告もありました。
孤立せず、家族会など外部の支援につながることの重要性が共有されました。
IRカジノと依存症対策の課題
後半では、IRカジノをめぐる現状と課題についても報告がありました。
大阪では2030年開業に向けて計画が進行しています。横浜にIR誘致が進められた時から、カジノに対応したギャンブル等依存症対策はほとんど進んでいません。
これまで、シンガポールのギャンブル依存症対策の有効性を日本のカジノ誘致に当てはめて語られていますが、日本のギャンブル事情を考慮すると、大きな課題があると指摘がありました。
- 日本のギャンブル市場は約20兆円規模(オンライン含む)に対し依存症対策費は年間約8.4億円にとどまる
- シンガポールのギャンブル市場は約2兆円に対し年間約44億円の対策費を投じている。
- 日本では、自己排除システムが家族からの申告ができないなど機能していない
今回のセミナーを通じて、ギャンブル障害は「個人の問題」としてだけではなく、社会全体で支えるべき課題であることを改めて認識しました。
当事者・家族の声からは、支援につながることの大切さと同時に、制度の不十分さも浮き彫りになりました。今後、依存症対策の充実や、誰もが安心して相談できる環境づくりが求められています。
引き続き、こうした現場の声を受け止めながら、地域の中でできる取り組みを考えていきたいと思います。



