脱炭素化への一歩

梅雨の大雨がもたらした大きな被害は、コロナ禍と相まって、依然心配な状況です。被害にあわれた方に、心からお見舞いを申し上げます。

例年被害が深刻化する気候変動には、脱炭素化は、待ったなしの状況です。横浜市は、2050年までの温室効果ガス実質排出ゼロ(脱炭素化)「Zero Carbon Yokohama」という目標を掲げています。今月、達成に向けて、まずは、率先行動として市役所全体で消費するすべての電力を再生可能エネルギーに転換するとの発表があり、第一段階として、新しい庁舎の電力の再生エネルギー100%を今年度中に達成するとしました。(記者発表資料

神奈川ネットでは、これまで電力自由化を機に、市役所の電力の見直しを提案してきました。

例えば、市内焼却場のバイオマス発電は、余剰電力を他所へ売って、市役所は他所から電気を買っていたわけですが、自ら生み出した電力をその地で消費できるようにすれば、ずっとシンプルです。また、電力自由化は、その電気の由来も選べるのですから、まずは市がグリーンな電気を選ぶことを率先して行い、その上で、市民にも電力のグリーン化を求めていこう。といった提案です。
今回の取り組みは、その一歩と言えるのか、温暖化対策統括本部プロジェクト推進課 岡崎課長に聞きました。

新市庁舎の電力使用料は、概算でおおよそ年間1260万Kw/hと予想されています。その使用量も驚きですが、その電力を100%再生可能エネルギー化すれば、年間5800t CO2削減に寄与します。(新市庁舎にした分、エネルギー消費量は増加しているので、その矛盾に対して言いたいことはありますが、今回はちょっと置いておきます。)
その電力を市庁舎の屋根に設置された太陽光が賄えるのは、たった1%。200Kwの燃料電池や、熱供給システムなども取り入れていますが、当然まかないきれるものではありません。そこで、残りの必要電力をまずは、焼却場のバイオマス発電、さらに不足する分(約25%)を太陽光発電の買取期間が満了となる市内の住宅の太陽光の余剰電力買取(いわゆる卒FIT電力)で補う。ということです。

横浜市は、電力会社ではないので、電力の売買は直接できないわけですが、
まず、焼却場の電力は、市場の買い取り価格で、資源循環局から横浜市が購入する形で実現します。
そして、市内の卒FIT太陽光については、現在8割以上を東京電力が買い取っていることから、東京電力と組んで横浜市に供給してもらう。というスキームで当面行われるとのこと。
2019年11月から順次終了となる固定価格買取制度(FIT)の電力ですが、環境価値がセットになる卒FIT電気は、どうしても高額となるものの、貴重な再生可能エネルギー源です。これを市内で活用するかという視点は、評価できるものと考えます。
供給側の市民にとって、市内で活用されるというこの横浜市の取り組みは一つのインセンティブになるはずです。しかし、このスキームでは、余剰電力の買い取り先が東京電力である必要があり、行政がこうしたインセンティブを与えることが、多様な電力会社の参入を妨げることにつながらないか心配です。

横浜市は、電力の調達の際に「横浜市グリーン電力調達制度」というグリーン電力を優遇できる制度を持っています。
これまでの「横浜型グリーン電力入札制度」は、本来のグリーン電力調達に寄与しない複雑な算定方式を含んでいて、時代に応じたものにすべきとかねてから指摘をしていたものが、昨年、ようやく改定されました。
こうした制度の活用と併用しながら、今後市民の選択が守られ、多様な電力会社の参入を促す横浜市の選択が求められます。

一方、神奈川県は、「かながわ余剰電力買取プランバンク」という取り組みを昨年から開始しています。買い取り期間が終了し、相対・自由契約で余剰電力を売電することを選択された県民に対して、余剰電力の買取プランをご紹介するものです。東京電力と契約継続した場合、8.5円での買取ですが、電力会社によっては、買取価格も様々で8円~11.5円と幅があります。こうした情報を知らせる仕組みは有効ですが、その先に、その電気がどこへ行くのかという視点が欲しいものです。
   もう一つ、自家消費を選択した人向けに、「かながわ蓄電池バンク」というものもあります。

卒FITの活用に関しては、微妙にすれ違うようにも思える神奈川県と横浜市の取り組みですが、ジレンマも抱えつつ、脱炭素化に向けて、次の一歩へと進めるように、私たちも引き続き考えていきます。

市が尾くらしテラスの太陽光発電(本文とはあまり関係ありません)