大豆から世界が見える・・・資本主義による「食」の変容

本日1月22日、たねと食とひと@フォーラム主催オンライン講演会
『大豆から世界が見える~食べものが商品に変わったとき~』が、京都橘大学 経済学部 准教授 平賀緑さんを迎えて開催されました。
私も参加している「たねと食とひと@フォーラム『ゲノム編集調査チーム』」では、今年度『大豆』にかなりスポットを当ててきたのですが、日本にとっての『大豆』はちょっと特別だし、掘り下げれば下げるほど、さらに深く、深すぎて・・・???
という時に平賀緑さんにたどり着いたのでした。

平賀さんは「おいしくない食べもの」の政治経済を研究しているとご自身の紹介をされていました。
なるほど今回主題にした「大豆」は、「食べもの」だけど、その歴史の中では、軍需目的で広く活用され、今でも日本の大豆の消費のほとんどは『油』として利用されているのだそう。豆腐や納豆や醤油という大豆の顔の裏には、ほの暗い過去があったのでした。

そんな風に、システムの都合によって、私たちの食べものは変えられてきた。と平賀さん。
農村での自給自足的な食生活から、大量生産大量消費の時代へ。そして、命の糧である食べものがお金を儲けるための商品に変わり、資本主義のもと、農業は工業化され、今の食料システムが構築されてきました。

GDPを指標にするならば、食品を過剰に生産して、過剰に消費すればアップし、とどのつまり人や地球が不健康になればなるほど経済成長しているように見えるというのがこのシステム。
コロナパンデミックで、限界が見えたグローバル経済ですが、あまりに深く巧妙な私たちを捕らえるこの沼。私自身どっぷりと浸かっちゃってるなぁ・・・と顧みつつ、ここから逃れ、命のための経済を取り戻す日は果たして訪れるだろうか…

ちなみに、大豆など植物性タンパク質から作られるいわゆる『代替肉』は、大豆食品とは言えず、どんな原料なのか、なにが添加されているのか、消費者にはほとんどわからない超加工食品(Ultra Processd Food)と呼ばれます。
代替肉ブームは、肉食の環境負荷を訴え、SDGsを追い風に、「地球の為」と宣伝されています。
本当にそうなのでしょうか?

参加者からの質問では「環境に良いと代替肉を求める人に向けて、先生はどう説明するか?」というものがありました。
平賀さんは、環境負荷を引き起こしているのは、肉食そのものではなく、工業的な生産システムにある。
そうではない生産者もいる。その姿を見てほしい。と答えていました。
また「情報」は、誰かが意図を持って作るもの。と情報リテラシーの大切さも訴えていました。

これからの世界は、豚も牛も顔認証されて、管理される。そもそも肉自体が培養されるのは当たり前。私たちの決定権は失われ、お腹が空く前に食べ物が届く・・・ようになるかもしれません。
そんな未来は嫌だけど、なんだか、すごい大きなものに抗おうとしているようにも感じます。
それでも、目の前の「食べもの」をしっかりと見極め、選んでいくことから、逆の変革を起こしていけると信じたい。

今日も、食品ラベルを睨みつつ、未来を選んで食事を作ります。

なお、平賀さんによると、加工品を選ぶ際のコツは「原形のわかるもの」とのことですよ。ご参考まで。

平賀緑さん