困難な問題を抱える女性への支援に関する法律施行に向けて 現状を知るミニフォーラム

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が今年6月に策定されました。
施行は2年後の2024年。それまでに基本方針を策定し、各道府県が基本計画を作っていく、今は準備段階にあります。
DV等の支援の充実には、この法律に掲げた理念を、より実効性のあるものにしていく必要があります。そこで、実際にDV支援等に係り活動を続けてきた「共同の家プアン」の竹中さんに話を聞きました。

10月11日オンラインでミニフォーラムを開催しました。

プアンでは、DV等被害や居所喪失等、複合的で多様化する困難を抱える女性の入所保護、就労や住宅の確保など生活基盤を整え、さらに退所後の見守りや相談など、個々の必要に応じて包括的な支援に取り組んでいます。全国的には、進んでいると言われている神奈川県・横浜市・・・らしいのですが、緊急で女性を一時保護できる施設は市内に2箇所しかありません。

DV相談は、コロナ禍の2020年は、横浜市で5117件、神奈川県で5691件、コロナ前の2018年は横浜市4842件、神奈川県5291件と増加傾向にあります。

横浜市 神奈川県
2018年 4842 5291
2019年 4606 5698
2020年 5117 5691
2021年 5300(見込み) 5410

しかしながら、保護件数は、横ばいないし減少しています。

横浜市 神奈川県
2018年 ーー 177
2019年 211 176
2020年 171 150
2021年 200(見込み) 160

法の施行を前に、必要な支援が行き届いていないのではないかとの思いがよぎります。

これまで、こうしたDV対策事業は、「売春を行う恐れのある女子の補導や保護更生」を目的にした1956年に制定された『売春防止法』に基づいていました。女性だけが「指導や管理の対象」に位置づけられ、現状にそぐわないと指摘され続けながら、売春防止法は一度も改正されていません。新たな『困難な問題を抱える女性支援法』では、こうした売春防止法から脱却し、「女性の福祉の増進」、「人権の尊重や養護」、「男女の平等」に転換されたことに大きな意味があると竹中さんは言います。

NPO法人 共同の家プアン 副理事長 竹中麻美さん

私たちは、この法律を単なる理念法に留めることなく、活かし、支援の充実を図るために、国そして自治体へ働きかけが必要だと考えました。共同の家プアンが作成した国への要望にネット青葉は賛同し、近々厚生労働省への提出を予定しています。