横浜市との円卓会議
横浜エリア連携協議会* ➕ 横浜ユニット連絡会 の2023年予算への政策提案に向け、合同の円卓会議を開催しました。
子育て、教育、高齢者福祉、環境のテーマで横浜市の各局の職員と年に一度の意見交換の機会です。
こども・子育て
産前産後ヘルパー派遣事業は、9:00~17:00の時間帯でしか利用ができません。
小さな子を育てる家庭では、黄昏時、夕方からの時間こそ人の手が必要になるものですよね?
でも、利用できない。
理由は、市役所の開庁時間でなければ、不測の事態に対応できないから…というものです。
市民同士の助け合いに基づく子育てサポートシステムは、それを補完するように夜の時間の利用が可能です。プロのヘルパー支援には不測の事態を想定しているけれど、市民の支え合いには、必要ないのか…むしろリスクは逆ではないのか?と思わずにはいられません。
ならば不測の事態?今まで何件問い合わせがあったのか?と聞くと、
「類似の事業でありました。」というのですが…よくよく聞けば養育支援ヘルパーでの案件だとのこと。養育支援は児童相談所マターであり、産前産後の担当とはちがうはず。
もちろん、利用時間を延長する、サービス内容を拡大するといったことが簡単には進まないことは承知をしています。しかし、必要とされる事業は、利用者の目線でよりニーズを満たすものへと見直す姿勢は大切だと思います。
また、これまで必ず提案してきた一時保育の推進ですが、さまざま社会の有り様が変化をし、ニーズも変わってきています。
近年では、0歳児の預かりニーズが特に乳幼児一時預かり事業で増加をしているが、0歳の保育にはより人の手が必要になると厳しい現場の声が寄せられています。なぜ、0歳の預かりニーズが乳幼児一時預かりに集中しているのか、その本質にも目を向けて、考えていきたい。こうした気づきを伝えることで、私たち市民側と市当局とがその課題を共有する機会になっていると自負しています。
高齢者福祉
横浜エリア連携協議会の毎年行っているアンケート調査では、
「将来介護が必要になった時(又は現在介護保険を利用中)に最も使いたいと思うサービスは何ですか?」という問いに対し、例年ダントツで『定期的なヘルパー訪問』が1位!5割を超えています。
一方でヘルパーの高齢化と人材不足は深刻で、現場からは「これからの在宅介護が崩壊してしまう」と警笛が鳴らされ続けています。
しかしながら、国も横浜市も人材確保策を打ち出すでもなく、相変わらず外国人頼み?それもこの円安で、もう選ばれる国ではなくなりつつあります。
横浜市でヘルパーの確保策として挙げられるのは、資格取得支援ばかり・・・。具体的なその他の対策は「本日担当が不在でお答えできません」とのことでした。いろんな意味で残念です。
さて、2015年から要支援1・2の人を対象に始まった日常生活支援総合事業ですが、厚労省の説明文には「市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等の方に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すものです。」とあります。
要支援の人たちのサービスを給付から切り離し、地域の支え合いで行おうとするもので、その本質は、給付の抑制です。
地域住民に生活支援の担い手として参加を期待したものの、現実には、7年経っても広がっているとは言いがたい状況。
なぜなら、要支援者は、軽度と言っても介護の必要な人であり、生活援助は、誰でもできるような簡単な仕事ではないからです。
横浜市は、通所型サービスAを資格を緩和した基準で、通常の報酬の9割で行うこととしています。横浜ユニット連絡会では昨年、その現状を調査すべきと訴え、事業者へのアンケート調査に結びつきました。
その結果は、驚くべきもので、サービスAに登録している事業所のうち、サービスAを提供した事がある事業所はたった21.3%
区ごとに見れば、4区で提供実績が0ゼロと乏しい限り。(ちなみに青葉区は2.9%)
さらにそのサービスを提供しているのは、85.3%が有資格のヘルパーです。つまり、わずかに実施したサービスもヘルパーが報酬を1割減らして従事している状況。この事業の存在意義が問われても仕方ない事が改めて浮き彫りになっています。
そのことを円卓会議では指摘しましたが、
当局はあくまで「専門性の必要性がない人に対してのサービス」と強調し、事業については「横浜市で判断できる部分は少なく、今後も引き続き行われていくもの」という認識。
それでいいのか?という問いには横浜市としての意志は示されませんでした。
日本で最も大きな基礎自治体が、介護保険に対しては、その声を上げることもない。
がっかりです。
次の介護保険改訂では、要介護1・2までもがこの総合事業に移行される議論が行われています。地域のニーズは明らかなのに、どこまで目を瞑ろうというのか・・・
本当に在宅介護は崖っぷちです。
環境
ちょうど、横浜市温暖化対策実行計画の素案が示され、パブリックコメントが締め切られたタイミングでした。
2050年にゼロカーボンを目指す横浜市。ですが、そこに向けての実行計画の甘さも指摘されているところです。
横浜市のCO2排出は29%が家庭部門と国全体で16%に比べて、私たち市民の取り組みのポテンシャルが高いところです。
だからこそ、市民からの提案には重みもあるし、私たちの責任もあります。
環境分野は、最終的には市民が行わなければ動かないことが多く、提案も自分たちの取り組みに返ってくるものばかりです。
CO2削減の鍵を握るのは、家庭での電力=省エネとスイッチング(電力会社を再生エネルギーに切り換えること)です。
それにはもちろん率先した市役所の行動が求められます。5年前と比較すれば、横浜市の焼却施設の余剰電力を他所に売ることなく、市庁舎で活用するといった、市内で循環できる仕組みが整えられる等、少しづつは進んでいます。
しかし、残念ながら、区役所の電気のほとんどは再エネではありません。(18区中14区が東京電力エナジーパートナー株式会社と契約)
当局の説明は「区役所等の大きな電力会社の選択は、入札になるため、全ての電気事業者が再エネを導入してくれたらありがたいが、結局は価格が問題になる。」からだそうですが。
それでは、いつまで経っても変わらない。
横浜市には入札の際に環境条件を設定する、グリーン電力調達制度がありますが、活かされているとは言い難い状況も明らかになりました。
この意見交換を元に、今年度の提案提出に向け、最終調整が続きます。
*横浜エリア連携協議会 構成団体:横浜北生活クラブ生活協同組合 / 横浜みなみ生活クラブ生活協同組合
神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会 / 特定非営利活動法人 ワーカーズ・コレクティブ協会 /社会福祉法人 いきいき福祉会 / 福祉クラブ生活協同組合 / 神奈川ネットワーク運動
横浜ユニット連絡会:市内の福祉事業を運営するワーカーズ・コレクティブなどを中心に、参加型福祉の理念のもと、非営利・協同のコンセプトで活動する市民団体