敬老パスIC化・・・川崎市にも聞いてみた。

12月30日は、敬老パスミニフォーラム第二弾をすすき野で開催しました。

横浜市と川崎市では、敬老パスのIC化を同時期に開始。横浜は、独自端末での導入ですが、川崎市は、SuicaやPASMOといった交通系ICカードとの一体化を実現しています。(詳しくは前回のミニフォーラムのレポートをご参照ください)そこで、ミニフォーラムに先立ち18日には、ネット・宮前の大西いずみ市議と渡辺あつこ元市議のコーディネートで川崎市にヒアリングしました。


川崎と横浜、IC化の議論は、ほぼ同時に進んできた

川崎市も横浜市同様、1974年に「川崎市高齢者外出支援乗車事業」として完全無料で開始をされ、2004年の有料化の際に、現在の方式に切り替えられています。仕組みとしては、原則、70歳以上の全員に半額乗車券が配布されます。さらに希望者は、フリーパスを月1000円で購入することができることとなっており、IC化にも同様の内容が反映されました。

横浜市同様、持続可能な制度とするために「あり方検討会」が2020年立ち上がり、根拠となるデータの取得を目指す意味でもIC化に向けた議論が進められてきました。
横浜、川崎とも、ほぼ同時期に検討が行われてきたわけですが、川崎市は、2020年秋にはJR関連会社が、交通系ICカードと敬老パスのドッキングの技術開発に成功した。との情報を得ます。(当然横浜市の耳にも入っていると思うのですが・・・)この辺りから差が出てきたようです。

川崎市の事業者選定は、総合評価入札で行われ、その際の評価基準は、主に
1、ランニングコスト 2、利便性 3、IC化を活用した施策展開の可能性 4、価格 とのこと。
結果、交通系ICカードでの提案が採用され、「一般社団法人バス共通ICカード協会」が選定されました。
事業費は、およそ8億円。(予算11億円)

IC化開始当初は、交通系ICカードを持っていない人は、自ら取得する必要があり、混乱も生じましたが、現在は落ち着いているといった話を聞くことができました。


さて、ミニフォーラムに話は戻って
当日は、敬老パスを利用する川崎市の方にも加わっていただき、実際の使い勝手も伺いました。
川崎市の吉田さんは、フリーパス方式を利用していますが、フリーパスは数ヶ月分を購入するため、これまでは有効期限証と2枚のカードが必要でした。しかし、交通系ICカードならば、読み取り期にかざせば有効期限も示される。と使い勝手の良さをアピール!満足しているとのこと。
なんだか横浜市民は羨ましそうに眺める図が印象的でした。

ミニフォーラムの参加者の多くが自ら敬老パスの「ヘビーユーザー」を自称する方ばかり!
恩恵に預かり感謝している。高齢者のみならず、交通費の負担軽減が必要な対象者はいる。高所得者にはもう少し負担を上げても、総合的にあり方を検討すべき。といった意見がありました。
横浜市に対しては、今後のランニングコストへの疑問。IC化によって得られる調査結果をどのように反映していくのか知りたい。といった声がありました。

市営地下鉄の駅では、敬老パス読み取り機の位置がわかりにくいとの指摘で、現在は多くの駅で有人改札に読み取り機は移動しています。
それでも説明要員は、改札そばにいるのを見かけます。ちょっと所在なさげに見えるのは気のせいか・・・

ついつい比較してしまう・・・
予算だけ比較しても横浜20億に対し川崎8億。システム開発としては自治体規模はさほど影響ないのでは?として考えるとあまりに大きな差があります。
また、利便性を考慮した川崎市に対し、全く考慮せず、調査だけを目的とした横浜市。
隣接し、同じバスを利用する人が多い分、いくばくかの悔しさと、若干の虚しさを覚える横浜市民なのでした。

なかなか後戻りは難しい問題ですが、今後も追ってみたいと思います。
そもそも、税の使い方としてどうなの?と問いたい。