県外調査2 ー災害を自分ごとにー

初日にバスで宮城県に移動し、2日目は、「宮城県涌谷高等学校」を視察しました。

宮城県涌谷高等学校

伊達家ゆかりの城下町のどかな地に立つ涌谷高等学校は、大正8年涌谷実科高等女学校として設立され、105年の歴史ある学校です。

東日本大震災の経験、大川小学校の痛ましい事故を教訓に、宮城県では、初任者研修で全ての教員が大川小へ研修に行くのだそうです。そして、防災主任が各校に配置されており、県全体の防災意識が非常に高いと言えます。

涌谷高校も震災時、被害を受けていますが、近隣に河川もあり、2015年の関東東北豪雨、2019年の東日本台風、昨年も宮城県豪雨、と、水害リスクも高い地域です。

地域連携型学校防災体制等構築推進事業

涌谷高校は、宮城県の「地域連携型学校防災体制等構築推進事業」における2021〜2022年度の推進協力校に指定され、防災教育に積極的に取り組んでいます。
前年度の防災担当津守先生にご説明をいただきました。津守先生は、震災当時中学生だったそうです。多くの先生が被災の経験を抱え、いかなる災害においても生徒の安全「命」を守れるように、取り組んでいる強い思いが印象的でした。その思いは地域にも根付いていて、判断力・行動力の育成を地域ぐるみで行っています。

防災において「マイ・タイムライン(一人ひとりの防災行動計画)」の検討が推奨されていますが、涌谷高校では、「学校タイムライン」を検討し、地域の関係機関等と連携した学校防災マニュアルの見直しを行なっています。その一環で、生徒も参加し、防災訓練を実施。避難所では若い人の手が必要になります。生徒が地域社会で果たす自分の役割を確認することができる場になっています。

校内では、避難所運営ワークショップ、災害対応ワークショップを開催し、生徒自ら地域の災害特性を考えていきます。その際の講師、齋藤幸男さん(元石巻西高校長、防災士)の言葉が引用されていたので紹介します。

「私たちは、今、災害と災害の間を生きている。」

この意識を誰もが持ち、今日という日を過ごしていかなければならないと感じました。

生徒がワークショップで描いた「避難所運営組織図」と説明する津守先生

また、「宮城県防災指導員」養成講座には、生徒31人が参加。全員が防災指導員に認定されました。

高校生が、防災意識を高め、地域のイベントにも参加をすることで、まち全体の意識が変わったと言います。足が遠のいていた高齢者も高校生の参加に導かれて、訓練に参加するようになるなど、いざという時の連携の基盤が構築されていきます。

生徒も、教師も、地域も、「自分ごと」として災害を捉え、備えていく、訓練していく取り組みは、私たちも学ぶところが大きいです。

昨年は、ぼうさい甲子園「URレジリエンス賞」を受賞された涌谷高等学校

今年は、関東大震災から100年。

今や被災地と言われても、どこのことかわからないほど、多くの災害に見舞われています。明日を生きぬくための備え。身近なところから進めていこう。