介護保険を立て直す!院内集会
1月23日、衆議院会館にて院内集会「介護保険を立て直す!」を開催しました。(主催:介護の崩壊をさせない実行委員会)
介護保険制度開始から25年目を迎え、介護の崩壊手前、制度存続の重要な局面にあると強く感じます。院内集会には4つの提案を持って、現場を担うメンバーが、厚労省に訴えました。
1. 訪問介護員の人材確保は待ったなし
人材不足は、どの分野にも共通の課題ですが、最も顕著な介護職。その中でも最も有効求人倍率が高い訪問介護員。しかし、昨年の報酬改定では、訪問介護のみが報酬引き下げという驚くべき決定がありました。全産業の平均給与額に比べ、訪問介護員の給与額は6.8万円ほど少ないと言われていますので、選ばれない仕事となっているのは必然です。介護の人材確保には、その解決手段として、基本報酬引き上げが、急務です。
また、処遇の改善とともに、介護という尊い仕事へ正しいイメージを持ってもらう戦略が必要です。
2. 基本報酬を上げない限り、介護に未来はない
最低賃金は、2002年度には、全国平均623円であったのが、2024年度には1,055円で、1.6倍に伸びています。これに対し、介護保険基本報酬は、3年毎の見直しを経て、2024年度改定までに合計で1.96%の上乗せでしかありません。これでは事業を継続していくのが厳しいと悲鳴が上がるのも納得です。
今年度の補正予算で、806億円の介護人材確保・職場環境改善等事業費が計上されましたが、一時しのぎの感は拭えず、恒久的な対策として基本報酬の引き上げが必要です。
東京商工リサーチの調査では、2024年の介護事業倒産件数は過去最多172件だったとのこと。その半数近くが訪問介護。また従業員数10名未満の小規模事業者が8割超と大半を占めています。地域の在宅サービスが続々と失われていく。「制度はあってもサービスなし」はもはや現実です。
3. 要介護1·2 の総合事業移行に反対!
総合事業は、2015年の開始前から何度も何度も問題点を指摘し続け、暖簾に腕押し早10年となりました。。。
課題認識は国にもあり、2023年「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会」で総合事業の見直し議論があったところです。そこでも指摘されてきたことですが、総合事業は市町村によって実施状況にばらつきがあり、要支援者のサービスに自治体間格差が生じています。
サービスAは、多くの自治体が有資格のサービスに比較して、報酬単価を少なく設定しています。担い手を資格を有しない人にも拡大しようという目的が、担い手は広がらずに、実際のサービスについては有資格者が報酬を減らして従事しているという皮肉な状況を生み出しました。横浜市で2020年に行ったアンケート調査では、サービスA指定事業者(319事業所)のうち、実際にサービスを提供した事業者は2割にとどまっており、サービスAが機能していないことをすでにこの段階で示しています。
そもそも要支援者の方は、支援を必要と認定された方で、認知症を持っている方、歩行等に支障がある方が多くいらっしゃいます。
サービスBについては、この方達へのサービスを住民主体のボランティア等で行なっていくというものです。通所サービスBの現場では、実施場所まで、来ることが困難で、たどり着けなかったり、迷子になる事例が頻発しています。その責任を負うことがボランティアには難しいことは明白です。また、参加者が、結局長く通うことが難しく従前相当サービスや、要介護に移行していくという事例も生じています。住民主体で担うことの難しさは当初から指摘されてきたことです。
このように、総合事業の課題が多く指摘されている状況にありながら、要介護1・2を総合事業に移行するのは不可能です。受け皿もない、担い手もいない、介護が成り立たなくなることは明らかです。総合事業そのものを見直し、要支援者も含めた在宅サービスのあり方を再検討すべきです。
4. 利用者負担の引き上げに反対!
介護保険料は制度開始当初から平均で2倍にも増加しています。利用者の負担は上がり続けていることになります。
また、介護保険制度のスタート時には、「所得にかかわらず1 割」とされた利用者負担割合については、所得に応じて2割または3割とする改定が行われました。さらに、負担割合を1割とされる認定者が90%と多数を占めている状況下で、財政制度等審議会等の議論を受け、利用者負担割合を原則2割とする方向で見直しが進んでいます。
介護サービスは生活を支える経常的な支出です。利用者負担割合が原則2割となることは、利用控えにつながり、その結果、重度化が進み、家族等の介護者の負担が増大し、介護離職の増加も懸念されます。
また、ケアプランの有料化も検討が続いていますが、実行されれば利用者にとっては負担増となります。有料化でケアマネジメントの利用が抑制されることで、要介護者の状態変化の早期発見・早期対応が困難になり、社会的負担が増大する恐れもあります。
衆議院選挙候補者アンケートから
衆議院選挙時に神奈川ネットが行った県内候補者アンケートでは、党派に関わらず、ほとんどの候補者が有効な解決策に「基本報酬の引き上げ」 を選択しています。
また、介護保険料の国庫負担割合の引き上げについても多くの候補者が賛成しています。
利用者負担増より、有効なはず。
アンケートに回答した議員が誕生したこの機会は、介護保険を立て直すチャンスと捉えています。当日は多くの超党派の国会議員が参加。一部の議員とともに厚労省へ提案書を渡しました。
現場の声を届けてくれると期待します。
私は、地域から、働きかけを続けます。