「千年続く農業」を目指して

9日、横浜北生活クラブ主催のSHO Farm代表仲野晶子さんの講演会・交流会に参加しました。SHO Farmは、農業そして社会全体が抱える課題を提起し、横須賀市で、再生型農業を実践し、発信を続けています。その取り組みが、2022年キララ賞(かながわ若者生き活き大賞)を受賞しています。
気候変動や自給率の低下、担い手不足など農業自体が、危機的な状況にあって、持続可能な農業を追求する取り組みが聞けると思っていましたが・・・良い意味で期待を裏切られた!むしろそれ以上の内容でした。

仲野晶子さん

農業の抱える問題

気候変動、自給率、担い手不足に留まらず、農薬汚染や土壌の衰退、人権問題(外国人技能実習生に対する)など様々です。
機械化による石油依存は、どんなに作物を作っても、自給できないという根本的な課題を抱えていたり、プラスチックの汚染源にもなっているという・・・驚いたのは、有機農業ほどプラスチックマルチを必要とするため、依存が深刻だという現状。

この厳しい現状を受け止めて、全く違うアプローチを試みているのが再生型農業であり、SHO  Farmの農業です。しかも農場がおしゃれで素敵なんです。

農園の政治性

という見出しで、パワーポイントには
・エコロジー(環境正義、脱人間中心主義、反近代)
・フェミニズム(公平で民主的な人間関係、反差別)
・アナキズム(自給、自治、自由、反支配、相互扶助)
とあります。

フェミニズム⁉︎そして、「家父長制と資本制」の上野千鶴子さんの図が⁉︎
「農家の嫁」と聞けば、確かに苦労が絶えないイメージですが
実際、性別役割分業が最も色濃く存在する仕事の一つでしょう。
一方の「トラクターに乗りたがる男性」と言うのはとても分かり易い表現でしたが、その性別分業を排していく過程で、晶子さんは、トラクターに乗るのではなく、トラクターを捨てる選択をします。トラクターを=土壌破壊、化石燃料、工業化の象徴と捉え、弱者を基準とした誰でも手軽にできる農法を選択し、インフラも独立型にすることで、自由な自治する農園を実現しています。

農園から社会正義を実現する プロジェクト

誰もが良質な食にアクセスできるべき。という考えから、販売している野菜ボックスの価格を選択できる仕組みを生み出しました。
余裕のある人は、正規の価格に上乗せする。逆にちょっと生活が苦しいという人は、減額コースを選べる。というもの。不思議とそれで収支が合っているのだそう。

誰にでもできる再生型農業

を教えてもらったので、紹介します。

・草は土を豊かにする味方(必死に草取りをする必要はない)
・多様な種を育てる
・土を常に、有機物で覆う(植物ではなく土を見る)
・有機物を漉き込まず、刈り敷く
・有機物を堆積して、層を作る。(レイヤーにしていくイメージ)
・不要な有機物は積んでおく
・根っこは抜かずに地ぎわで刈る

これからの不安な世界において、自分で食べ物を作る生産手段があるというのは、圧倒的な安心感と強さがあります。

農も環境も厳しい問題を抱えていますが、資本主義に囚われた農業から脱してそれを乗り越える実践を続けているSHO Farm。新しい働き方の提唱でもあり、わくわくしました。


私も、畑やりたい・・・