まさか!見捨てられた!? ー訪問介護の報酬引き下げ

社会保障審議会の介護給付費分科会が1月22日開催され、2024年度介護報酬改定に向けて、4月1日から適用される介護報酬単位が示されました。

訪問介護は報酬引き下げ!?

介護報酬改定率は、1.59%の引き上げとなり、その報酬単価に注目が集まっていた中で、訪問介護は、身体介護、生活援助、通院乗降介助とも、すべて基本報酬が引き下げられることが公表されました。 社会保障審議会介護給付費分科会資料(訪問介護は164ページ参照)


その代わりに、既存の処遇改善関連加算を1本化して創設する「介護職員等処遇改善加算」の加算率を高く設定した。との説明がされています。
しかし、処遇改善加算は、利用者負担にもつながり、また煩雑な事務処理を行う事業所全体の負担や、職員間の賃金バランスの課題などを鑑み、取得を見送る判断をする事業所もあります。加算ではなく、基本報酬の確保が必要だと、この間何度も訴えてきました。

訪問介護の現状

訪問介護は、ヘルパーの高齢化が大きな課題となっており、介護労働実態調査介護労働実態調査(2022年度調査)によれば、訪問介護従事者の
 84.9%が女性。
 平均年齢は54・7歳。
 60歳以上が38・1%、70歳以上が13・5%を占めています。

そして昨年、有効求人倍率は、15.53倍と過去最高になりました。

深刻な人材不足の背景には、仕事への評価と報酬の低さにあることは否めません。
このような実態を知りながら、基本報酬が引き下げという判断に至ったということは、国は、訪問介護は不要だと行っているようなものです。

市民の願い

生活クラブ運動グループで構成される「エリア連携協議会」で毎年行っているアンケート調査では、将来介護が必要になった時(又は現在介護保険を利用中)に最も使いたいと思うサ-ビスは何か?という問いに対し(選択肢:定期的なヘルパー訪問、デイサービス、ショートステイサービス、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、移動サービス、配食サービス、気軽に集える居場所の8つ)圧倒的トップが毎年「ヘルパー訪問」です。(2023年度は54.5%)

横浜エリア連携協議会調べ (2023年7月 有効解答1463人)

住み慣れた地域でできる限り暮らしていくという多くの市民が持つ願いは、国の方向性でもあったはずです。その実現に、暮らしを支える生活支援とりわけヘルパー支援は、不可欠です。

そのために人材の確保は喫緊の課題と言われてきたわけですが、結局人材の確保策に最も有効なのは、報酬の増です。今回の報酬改定は、これからやってくる最も深刻な高齢社会に向けて、介護人材を増やす最後のチャンスだと捉えていました。それだけにこの結論に現場には失望感が広がっています。

介護事業所の今

昨年、休廃業や解散した介護事業者は510件にのぼり、過去最多を更新しました。
そのうち訪問介護事業者の昨年1年間の倒産件数は67件で、これまた過去最多とのこと。この流れが一層加速するのではないかという不安も広がっています。

私自身、まさか、このような結論が出るとは予想しませんでした。現状を無視し、市民の思いを蔑ろにしていると言わざるを得ません。現場からの怒りの声、見捨てられたとの思いも届いています。

引き続き、諦めずに現場と共に声を上げていきます。