県外調査3・4 ー三重県おかげ横丁・多気町VISON

おかげ横丁

2日目は、伊勢市へバスで移動。

伊勢神宮の内宮に程近いおはらい町にある「おかげ横丁」。お伊勢参りの旅人を門前町として迎え続けたおはらい町の街並みを再現した商店街です。ちょっと有名な観光地ですね。

江戸時代お伊勢参りがブームだった1830年。参拝者はなんと約500万人当時の日本の人口のおよそ20%が訪れ栄えていた門前町でした。しかし、1975年ごろから、レジャーの多様化により、内宮参拝の後、おはらい町には立ち寄らず、内宮駐車場から他所へ移動する人が増え、「日本一滞在時間の短い観光地」と揶揄されるほど衰退したのでした。

そこで、株式会社 赤福(宝永4年1707年創業)が事業主体となり、運営管理会社、株式会社伊勢福を設立し、4000坪の敷地に街並みを整備、1993年式年遷宮の年に「おかげ横丁」が誕生しました。この年の観光客数は63.5万人でしたが、次の遷宮の2013年は654.5万人と見事に復活を遂げたのでした。

私、おかげ横丁を訪れたのは2回目。飽きることのない美しい街並みに、たくさんの人が魅了されるのも納得です。また、赤福さんの歴史と懐の深さにも驚きました。

神奈川だと・・・鎌倉には鶴岡八幡宮と小町通りがあるし、都市部はここまで土地の確保再開発は難しい。ポテンシャルを感じるのは寒川神社とか大雄山とかかしら?などと勝手に夢想しておりました。

伊勢神宮参拝はおあずけ。鳥居を拝んでこの地を後にしました

多気町 VISON

「高校生レストラン」と言えば聞いたことがあるのではないかと思います。その三重県立相可高校が立地するのが三重県多気町です。今回は、2021年三重県多気町に開業した敷地面積119ha(東京ドーム24個分)という広大な土地に開発された商業施設。(というか街)「VISON」を視察しました。

2015年に三重故郷創生プロジェクトが設立され、多気町、三重大学等と連携して開発が進められました。VISONには、ホテル、温泉施設、飲食店、などなど10のエリアに70店舗が所在しています。

2018年全国初民間施設直結の連結許可がおりて、グランドオープンの2021年には、スマートインターチェンジが開通しています。

また、多気町含む周辺の6町(多気町、明和町、大台町、渡会町、大紀町、紀北町)で、内閣府の「スーパーシティ構想」採択に向けて広域連携が開始。残念ながら不採択となるも「デジタル田園都市国家構想」5町(多気町、明和町、大台町、渡会町、紀北町)による広域連携事業が2021年、2022年と採択されています。(2022年、2023年実施)

連携事業の概要は、①共通地域ポータル ②デジタル地域通貨 ③広域観光ポータル
これをヴィソンを核として美村プロジェクトを立ち上げました。
「人口減少、少子高齢化などの地域課題解決に向け、行政区域の枠を超えた広域連携とデジタル技術の社会実装により、新たな地方創生への挑戦。」と位置付けて実施しています。

美村では、5つのデジタルサービスを実装
①共通地域ポータル =美村ポータルサイト
②デジタル地域通貨 =美村PAY
③広域観光ポータル =美村トラベル
④地域ポイントアプリ =美村パスポート
⑤ヘルスケアアプリ =美村ヘルスケア

また、昨年度〜今年度は、地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転実証調査事業)に採択され、Lv.4の自動運転実証運行を今年度、来年度には公道での実証を予定しているとのことでした。

ヴィソンの中は、整備された美しいリゾート。豊かな自然の中に突如出現するおしゃれな異空間という感じです。観光客の多くは若い世代。インバウンドを感じさせる外国人はほとんど見かけませんでした。まさにそこが課題だそうで、インバウンドと多世代の観光客の獲得が鍵です。来場者は、目標の600万人に対し半数程度とのこと。これからが期待される施設です。

広域連携のメリットを活かした周遊施策も課題。ヴィソンと周辺の村々のギャップをうまく活かすことが必要と感じました。

少子化高齢化に対し、デジタル化を解決の糸口にする試みの主旨は理解するものの、この広大なヴィソンは、本当に素敵なところでしたけれど、ちょっと参考にするには現実味が薄いというのが正直な感想でした。