「ナラ枯れ」を考える青空ミニフォーラム

『「ナラ枯れ」を考える青空ミニフォーラム』を秋晴れの桜台公園で開催、樹木医の持田智彦さん(庭乃持田園有限会社 代表取締役)にナラ枯れについて詳しく解説していただきました。

ナラ枯れは、桜台公園だけが深刻な訳ではなく、身近な公園や林で、立ち枯れたコナラなどの木が散見されます。
神奈川県では、そろそろピークアウトの様相とのことですが、すなわち、もう被害に遭う木がなくなるから…ということでもあります。

桜台公園。よく見ると枯れている木があるのがわかります。

ナラ枯れの具体的なメカニズムは、資料(持田さんがわかりやすいといっていた千葉県のもの)をご覧ください。

ナラ枯れの兆候。大量の木屑が根元に

ナラ枯れの元凶となるカシノナガキクイムシに入られた木の全てが枯れる訳ではなく、枯れるのはおよそ3割位。それでも、さらにキクイムシが飛び立ち次の被害を出すため、虫が入った木は伐採するのが望ましいとのこと。

予防策は殺菌剤を注入することですが、なんとこの薬がひと瓶4万円で、せいぜいコナラ5本分。たっかい!
なかなか手が出せないですね。「ナラ枯れホイホイ」なる、木に巻いて虫を捕獲する方法もありますが、何万匹という虫に対してはあまり効果は望めないのだそう。なんとも残念。
大きく育った木が伐採を待つばかりの状況には、心が痛むものです。

これ一本4万円!右手の機械で木に注入します

しかし、こうした木々は、本来里山の中で生活の資源として利用されてきたものでした。成長すれば、伐採して薪にしてきた木々が、放置され、大きく育っているのが現状。
キクイムシは、昔からいた虫ですが、大きな木を好みます。人が管理してきた野山に手が入らなくなり、大木が増えたことこそが、ナラ枯れの大規模被害を引き起こしていると、持田さん。
山の管理の問題を木は私たちに教えてくれている。と言うお話に、目から鱗でした。
「ナラ枯れ」は突然起きた自然の問題ではなく、なるべくして起こった、私たちの問題でもあったのでした。

皆熱心で、質問が途切れません

現実問題として、立ち枯れた木は、次の被害を引き起こすだけでなく、公園においては、危険な状態でもあります。一方で伐採するには大きな費用がかかる上、伐採した木の処分の問題もあります。
抜本的な解決策はまだありませんが、持田さんは、伐採をゾーンで行うことを提案しています。
立ち枯れた一本だけを伐採するのは、難しいですが、周囲の木も含めてまとめて伐採することで、手間はむしろ少なくなるのだそうです。また、伐採後には太陽光が入ることで、切り株からは新たな芽が吹き、再び成長を始めます。本来、そうして成長を繰り返した里山のあり方でもあります。

桜台公園の片隅に積み上げられ、乾燥を待つ薪の山

木の処分については、桜台公園で、独自の取り組みが行われていました。
伐採した木を公園愛護会の人たちの手で薪にして、希望者に提供しているのだそうです。手間はかかりますが、キャンプ需要もあり、木を活用する循環が広がっています。
但し、キクイムシが移動し被害が広がる恐れがあるので、他県への持ち込みや、残った薪を放置することには注意が必要と持田さんからはアドバイスがありました。
それから、最近話題の危険なキノコ「カエンタケ」は、ナラ枯れの根元に生える傾向があり、今後私たちの地域でも注意が必要とのことでした。みなさんも、ご注意を!
青空ミニフォーラムには多くの参加あり、こうした課題に地域の中で関心を寄せている人がたくさんいることに驚きと感動がありました。次は、行政のアプローチなども知りたいし、この課題、継続して取り組んでいきたいと思います。
アウトドアで考える会。とても気持ちよかったです。

この公園ができて50年。その姿も変わってきた。と地元の参加者