われらクビアカバスターズ!―まちの樹木を守るために―

8月19日、樹木医の持田智彦さん(日本樹木医会神奈川県支部長)を講師に、あざみ野 スペースナナにて学習会を開催しました。

気候変動による猛暑や環境の変化、ナラ枯れ、そして特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」など、いま、私たちの身近な樹木にはさまざまな異変が起きています。青葉区でも確認されたクビアカツヤカミキリについて、詳しくお話を伺いました。

過去記事もご参照ください。

樹木医の持田智彦さん ナラ枯れの学習会の時もお世話になりました。

学習会には、園芸関係の方も多くご参加いただきました。

サクラだけではない、果樹にも深刻な被害

クビアカツヤカミキリは中国などを原産とする外来昆虫で、2018年に特定外来生物に指定されました。
産卵数が非常に多く、1匹の雌が産む卵は最大で1000個にもなります。バラ科の樹皮の割れ目などに産卵し、幼虫が樹木の内部に入り込み、形成層を食い荒らしながら成長します。特にモモなどの果樹への被害は深刻で、1本の木に200匹ほど入ることもあるとのこと。
バラ科の中でも、モモ、スモモ、ハナモモ、サクラ、ウメの順に好み、桜ではソメイヨシノが好きなのだそう。(クビアカにとって、サクラが多い日本はまるで天国なのです)

成虫になるまでにはおよそ2年。成虫は日中に活動し、2kmほど飛ぶことができるため、いったん広がり始めると急速に被害が拡大する恐れがあります。

日本では、すでに被害が深刻な地域もあり、群馬県桐生市では、全ての小中学校のサクラがクビアカツヤツヤカミキリの被害を受け、伐採を余儀なくされています。

近隣では、川崎市菅生緑地で6月半ばに幼虫を持田さんが発見通報(26日記者発表)、6月30日に成虫が発見されました。青葉区では、6月30日に美しが丘第4公園で幼虫が発見されました。その後、横浜市の調査で成虫も発見されています。

菅生緑地の桜

クビアカツヤカミキリの幼虫が発見された美しが丘第4公園の桜。痛々しい痕は、幼虫を掘り出したところ

「フラス」を見つける市民の目が大切

被害を早期に発見する重要なサインが「フラス」です。

幼虫が木の中を食べながら排出する木くずと糞が混ざったもので、木の根元などにたまります。クビアカの場合は、かりんとうのような特徴的なフラスを出します。果樹の場合は枝から出ることもあるそうです。
成虫になると被害の拡大を防ぐことはさらに難しくなります。幼虫の段階であれば、穴から殺虫剤を注入するなどの対策ができますが、蛹になると薬剤も効きにくくなり、被害が進めば伐採せざるを得ません。

「発生初期の段階で、いかに見つけるかが重要。そのためには、市民の目を増やすことが大切」と持田さん。

公園や街路樹など行政が管理する樹木だけでなく、民有地のサクラやウメ、モモなども含め、地域全体で見守っていく必要があります。

守りたい木をどう守るか

現在、クビアカツヤカミキリ対策には、これさえやれば大丈夫という決め手はなく、各地で試行錯誤が続いています。
幼虫が入った穴への薬剤注入、樹幹への薬剤散布や注入、成虫が外へ出ないようネットで木を覆う方法などがあります。

クビアカツヤカミキリが確認された川崎市宮前区の菅生緑地では、約40本に薬剤散布が行われたとのことでした。

一方で、薬剤を使うことへの地域の理解も必要です。また、伐採した木の処理も大きな課題です。クビアカツヤカミキリが生きたまま入っている木を安易に移動させることはできない上、ゴミとして処分するには短く切断する必要があります。多くの被害が大木であることを考えると大きな問題です。

持田さんからは、「冬が勝負」とのお話もありました。成虫が飛び回らない時期に被害木への対策や必要な伐採を進め、翌年の拡大を防ぐことが重要です。

公園を歩けば、樹木の異変が見えてくる

学習会の後半は、近くの公園へ移動し、持田さんと一緒に樹木を観察しました。

この公園では、クビアカツヤカミキリは見つかっていません。

実際に歩いてみると、コスカシバによる被害や、ベッコウタケ、コフキタケなどのキノコが生えた樹木など、普段何気なく見ている木にもさまざまなサインが出ていることが分かります。
キノコの中には根を腐らせるものがあり、草刈りなどで樹皮についた傷から菌が侵入することもあります。目に見えるキノコが出てきた時には、すでに内部で腐朽が進んでいることもあるそうです。

思った以上に難しい老木管理に皆興味津々。

さらに気になったのが、猛暑による樹木への影響です。
樹木も近年の夏の暑さに対応できなくなってきています。冬の低温に一定期間さらされることで休眠から目覚める「休眠打破」にも気候変動が影響し、将来、温暖な地域ではソメイヨシノがこれまでのように咲かなくなる可能性もあるとのお話でした。

たまプラーザ駅前の伐採された桜。これもベッコウダケの被害によるものでした

まちのサクラを、未来に残すために

日本には、学校、公園、川沿い、道路沿いなど、私たちの暮らしのすぐそばにたくさんのサクラがあります。それは同時に、クビアカツヤカミキリにとって格好の環境でもあります。

持田さんは、このまま被害が広がれば、いつの日かサクラは「チェリーランド」のような特別に管理された場所へ見に行くものになってしまうかもしれない、と警鐘を鳴らします。そうならないためにも、被害がまだ初期段階にある今、対策を急ぐ必要があります。

行政による調査や防除だけでは、すべての木を見守ることはできません。散歩の途中、公園や身近な場所にあるサクラやウメ、モモなどの根元をちょっと見てみる。怪しいフラスや虫を見つけたら行政に知らせる。

ちなみに・・・成虫を見つかたら迷わず捕殺!
(ちょっと怖いですよね。踏みつけるのが嫌な時は、除光液などを入れた容器に入れる。といった方法もあります。)
*成虫の移動、飼育などは罰則の対象となります。

そんな一人ひとりの「目」が、まちの樹木を守る大きな力になります。

まさに、「われらクビアカバスターズ!」

大切なまちの樹木を次の世代に残していくために、地域のみんなで見守り、早期発見につなげていきましょう!!

 

問い合わせ先

横浜市:

  • クビアカツヤカミキリ全般に関すること:みどり環境局環境活動事業課:045-671-3448
  • 公園における対応に関すること:みどり環境局公園緑地維持課:045-671-3848
  • 街路樹における対応に関すること:道路・交通政策局施設課:045-671-2786
  • 河川における対応に関すること:下水道河川局流域管理課:045-671-2857
  • 農業従事者等はみどり環境局農業振興課のページをご覧ください。

※月曜日から金曜日の午前8時45分から午後5時15分(土日祝、年末年始は除く)

青葉区:

  • 青葉土木事務所:045-971-2300

川崎市:

神奈川県: