生活困窮者の今を考える

社会・経済の活動がほぼ停止状態に陥った緊急事態宣言下では、多くの人が収入の道を絶たれるという状況に追い込まれました。
さらに、福祉施設の相次ぐ休業、食事配布、こども食堂といった地域の活動も中止を余儀なくされた状況では、住まいと食事にも困難を抱える人が少なくありません。今回の緊急事態宣言は、社会が健常に機能している状況でかろうじて日々の暮らしを繋いできた人たち、生活に困窮している人たちに、最も大きなしわ寄せが行ったと言えます。

ネット青葉では、コロナウィルスが生活に与えた影響をアンケートで調査するとともに、
まだ課題の全容は見えませんが、現状を捉え、7月10日私たちができる取り組みを探る「生活困窮者の今を考える」オンラインミニフォーラムを開催しました。
(生活困窮者という言葉は、あまり好ましくないと思いつつ、当てはまる言葉がみつからないので、制度に倣ってこの言葉を使っています。)

横浜市の生活保護申請件数の比較。ピンクは2020年水色が昨年。オンラインミニフォーラムの様子から。

緊急事態宣言下の4月は、生活保護申請件数(横浜市)が昨年同月比 約1.5倍の増加となりました。
それでも生活保護の申請は、ハードルが高いもの。そこでその手前のセーフティネットとされる生活困窮者自立支援制度の利用が最も増加したのではないかと思われます。
生活困窮者自立支援の窓口と言える自立相談支援の新規相談件数は、4月5月共、昨年同月比でなんと約7倍の増加。この2ヶ月で昨年度の年間相談者数を上回る新規相談件数となりました。

横浜市の生活困窮者自立支援制度新規相談件数。ピンクが2020年水色が2019年。

最も深刻と言われる住居の支援は、4月の生活困窮者自立支援法の改正で要件が緩和され、5月の横浜市補正予算では、「住居確保給付金」に2 億5300 万円が計上されました。これにより申し込みは急増。
この住居確保給付金は、これまで要件が厳しく制度が非常に使いにくいと言われてきたこともあり、昨年5月の利用はたった12件
それが今年の5月は1488件に登ります。
また、この申請業務等に大きな負荷がかかったこともあり、6月の横浜市補正予算では、人件費に2億8300万円が計上されました。
大きな混乱が、こうした数字からも窺えます。

ネット青葉では、緊急事態宣言下の5月「コロナ禍におけるフードバンクかながわの取り組みを聞く」ミニフォーラムを開催し、施設等を通じた支援が滞る中、食糧支援を続けたフードドライブに注目してきました。

横浜市でも、7月より「ひとり親世帯フードサポート事業」というフードバンクと連携した、ひとり親への食糧支援を開始したところです。
しかし、広い横浜では、その効果も十分とは言えません。生活困窮の課題は、必ずしも地域で顕在化しているものではなく、さらに自粛生活が続けば、課題を身近に感じることが難しくなります。
私たちは、フードドライブをより身近な地域で展開することができれば、そっとつながる糸口になれるのではないかと考えました。
そこで、12日には次の一歩に向けて、「フードドライブをはじめよう」ミニフォーラムを開催予定です。
ご一緒に、取り組む仲間も募集しています!