共に(トブロ)ツアー
毎年、朝鮮学校を地域に開き、交流を続けてきた「かながわの朝鮮学校交流ツアー(通称:トブロツアー)」
今年は、コロナウィルス感染拡大の緊急事態下ということで、2月13日、初のオンライン開催となりました。
歴史に翻弄され、子どもたちに対するヘイトがいまだに繰り返されている朝鮮学校の現状。
生徒自らパワーポイントを用いて学校の紹介、そして朝鮮学校の現状などの報告がありました。
第二部は、神奈川県立高校非常勤講師 遠藤正承さんによる
「日朝関係史を学ぶ〜秀吉朝鮮侵略から朝鮮学校までの歴史〜」の講座。
私たちが習った歴史を地図をひっくり返して学ぶような気分でした。
地球は丸い。歴史もまた平面では語れないものです。
秀吉の朝鮮侵略で、持ち帰った文化や技術。それが長く日本と朝鮮をつなぐ役割を果たしていたこと。
日清戦争は、簡単に言えば、日本と清国の戦争ですが、その主戦場は朝鮮の地だった。とか・・・
そして、朝鮮学校の歴史は、日本の植民地支配の只中にあり、言論の弾圧から朝鮮語を封じられたことも大きな要因でした。
戦後になって帰国しようにも、旅費の工面、そして何より子供たちが自分の国の言葉を知らなかったので、出発までに片言でも話せるようにしなければならない。ということから生まれました。
日本に暮らす朝鮮人が
「民族的なならわしが軽蔑されないところ」
「誰に遠慮することもなく、朝鮮語で叫びながら遊ぶことができるところ」
と当時の生徒の言葉にあるように、当たり前に学び・暮らすことができる貴重な「場」であったことがわかります。
そもそもイデオロギーや、政治の流れに左右されることなく、教育を受ける権利は保障されねばなりませんが、朝鮮学校は、高校無償化、幼保無償化という制度の外に置かれ、生徒自らがヘイトの危険にさらされながら署名活動を行っている現状があります。
先日、福島を震源とした3.11を彷彿とする大きな地震がありましたが、その際にSNS上では、関東大震災の「井戸の毒」のデマになぞらえた投稿がありました。こんなことは当然許されないことですが、根深い差別が存在することにショックを覚えます。
こんな政治や社会の理不尽な差別にさらされながら、たたかおうとする子どもたちの姿に、大人として日本人として申し訳なく、また頼もしく思いました。
生徒たちが未来に立ち向かおうとする希望を、この学校の教育は与えていることの証であり、
投げかけられているのは、私たち日本の大人たちです。
多様性の確立は、マイノリティの側にからしか成し得ないことです。
「共に生きる」ということは、一本一本ねじれた糸をほぐして、つなぐ、一人ひとりに課せられた作業だと感じた1週間。
民族、性、などなど・・・多くの投げかけを受け止めて、あらゆる差別のない社会へ、諦めることなくめざしていきます。