急がれるオンラインカジノ規制

5月15日衆議院議員会館で、オンラインカジノ対策に関する超党派国会議員による依存症対策議員連盟の勉強会に参加しました。

衆議院議員会館の会議室にはたくさんの人がつめかけました

議員、関係団体、一般参加に加え、関係各省庁の担当者が同席をし、役所のオンラインカジノ対策に関わりのある事務についての説明がありました。
一言にオンラインカジノ対策と言っても対応部署の多いこと!そこに驚きます。
・厚生労働省 精神障害保健課
・内閣官房 ギャンブル等依存症対策推進本部
・消費者庁=啓発
・警察庁
・法務省 刑事局=検察
・経産省 商務・サービスグループ商取引監督課=クレジットカード業務に関わること
・金融庁 総合政策局
・総務省=放送やインターネットに関わること
抜けているところもあろうかと思いますが、こんなに多岐にわたっているわけです。
それにしても、どこの担当者もあまり歯切れがよくないのです。
「こんな風に取り締まっています!」みたいなことではなく、
「実に巧妙で対応に苦慮しているところでございます。」
というようなコメントが多いのが印象的で、今のオンラインカジノ対策の現状をよくあらわしていると思います。

当事者の声は切実

公益財団法人 ギャンブル依存症問題を考える会
NPO法人 全国ギャンブル依存症家族の会 からは、当事者、当事者家族からの発表がありました。

元々は、リアルのカジノギャンブル好きだった
という当事者のTさん、
コロナ禍でカジノへ行くことができなくなり、オンラインカジノにはまってしまったそう。
ネット上には、オンラインゲームのノリでカジノの文字が踊っています。ひとたび検索すればアフィリエイト広告による誘惑が押し寄せてきます。過度な大当たり動画や有名YouTuberによって煽られ、違法性があいまいになり、決済も現金振り込み、クレジットカード、仮想通貨、その他(決済代行業者)など、登録も手軽です。
掛け金は100円から100万円と入り口は手軽で、結果は最短10秒でわかり、どんどん深みにはまる仕組みになっています。
はじめは理性をもって遊んでいても24時間好きな時にプレイができる。気が付けば妻に背中を向けて夜中もプレイしていたといいます。
そうして膨らんだ借金は7,000万。カジノの恐ろしさは、この金額の大きさでもあります。

良い父親だった・・・
Oさんは、夫がギャンブル依存症になった当事者家族です。
夫は決して自堕落な人ではなく、学歴もあり、理系の国家資格を持つ計画性の高い人物だったそうです。そして何より良い父親だったそう。ある日、通帳に見慣れない出金があり、発覚したそうです。
話し合い、わかってもらったと思っていたのに、そこからあっという間に多額の借金。
妻のブランド品や大切な時計にも手を出し、どうしても止められないギャンブル。夫は罪悪感に苛まれながら、生きる希望を失い死に場所を探すようになり、Oさんも生活すべてが夫のギャンブルで埋め尽くされるようになりました。
Oさんが出かける時には安定剤を飲んで寝てもらい、24時間監視する生活になりました。家族もろとも壊れていく。これがギャンブル依存症です。結局Oさんの夫は、再発をくりかえし、今も入院中。
ギャンブル依存症は、治ることはありません。

オンラインカジノ規制強化を!
一般社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会 代表の田中紀子さんによると、最近ニュースをにぎわすこともあるように、犯罪がらみの相談が急激に増えているそうです。オンラインカジノは、ネット上のやりとりが特定できず事実上野放し、そして必ずセットになる闇金へのハードルが低く、対抗策がない。当然、依存症の若年化がすすみ、20代の相談が39%を占めるといいます。
コロナウィルスの感染拡大がはじまった頃からオンラインカジノが増加。その結果、昨年ごろから依存症が増加しています。

オンラインカジノはもちろん違法です。しかし、カジノ事業者は、無料でゲームができる別会社を作り、徐々に有料版に誘導します。スポーツチームなどのスポンサーになり、ネット上には広告があふれ違法性を曖昧にし、巧みにギャンブルに誘います。一度サイトに登録すれば退会はできず、あらゆる手段で連絡が来るといいます。まるで地獄です。

田中さんからの要請は、
・無料版を隠れ蓑にした広告を規制
・有料版へ導く、アフィリエイターを処罰
・SNS運営会社へ広告自主規制の要請
すぐにでも対応をと願うばかりです。

神奈川県は?
神奈川県では2021年3月、「神奈川県ギャンブル等依存症対策推進計画」が、策定されています。
(2021年1月に田中紀子さんを迎えてミニフォーラム を開催しています→レポート)今年はその最終年度。来年に向け改定が予定されています。
しかし、この計画の中には「カジノ」は明確に位置付けられていません。それは、「日本にカジノが存在していないため。」と言われていました。しかし、違法なままにこれだけオンラインカジノが蔓延し、被害を生んでいる状況を考えれば、位置付けるべきだったでしょう。
これ以上被害を生まないために、一日も早い対策を求めていきます。

田中紀子さんを囲んでパチリ