県外調査4 ー震災復興 そしてZEROマイプラ革命ー
宮城県農業高校
視察の最後は、農業高校です。
米どころでもあり、農業が盛んな宮城県で、農業に親しむ生徒の姿が見れるのだろうと思っていましたが、色んな意味で、私の想像とは違う姿を見せてくれました。
3.11東日本大震災
宮城県農業高校は、実に創立から138年もの歴史ある学校です。震災では、この地にも津波が押し寄せ、生徒が屋上に避難をし、校舎も農場も再建できないほどの被害を受けました。
その様子を動画で拝見しました。生徒が屋上で立ち尽くす様子、瓦礫が校舎を埋め尽くす様子。どれだけの悲劇が地域を襲ったか、観ているだけで鼓動が早くなり、ショックを感じさせる映像でした。
そこからの復興。
坂本龍一さんが、学校で浸水し、被災したピアノを弾き、
校舎の建て替えが始まりました。
新校舎完成までの間、仮設プレハブ校舎での7年間。生徒たちは「仮設魂」を合言葉に逞しく学ぶ様子がありました。
そして、私たちも訪れた新しい校舎は、310㎡という広大な土地に建っています。目の前には、稲穂が実り、黄金色の美しい水田が広がります。
生徒全員に寮生活を義務化しており、(学科によっては短期)「自啓寮」と呼ばれる学寮もあります。野菜畑、果樹園、花や飼料畑、畜産ゾーンと豊かな環境と設備が整っています。
ZEROマイプラ
後半は、生徒のプレゼンをみることができました。
昨年度農業クラブの全国大会(1類)で優勝を掴んだ発表のバージョンアップ版です。
#ZEROマイプラ革命
と題し、被覆肥料のマイクロプラスチックを解決する。というプロジェクト。
私は、数日前にテレビでもこの高校生による発明が取り上げられていたのを目にし、また、生活クラブの生産者からも、この被覆肥料の課題を聞いていたもので、びっくり!
被覆肥料は、肥料を被膜でコーティングすることで、効果の発動をコントロールした肥料。最適な時期に溶出するため、追肥が不要で、農家の助けとなり、シェアが広がっています。しかし、この被膜の多くがプラスチックでできていることが課題視されていました。
宮城農業高校の生徒がこれに気づいたのは、海岸でのことだったそう。砂に紛れた無数の小さな球。「これはなんだろう?」と思っていたところ、近所の畑の水路にも無数に集まっている。そこから、これが、被覆肥料の抜け殻であることがわかりました。その量を調べると10a当たりペットボトル60本分。全国で使用すれば、約12000t、ペットボトル6億本分のプラスチックが水田に捨てられ、海に運ばれてゆくことになります。
そこで、生徒たちはプラスチックを使わない同様の肥料の開発に取り組みました。同様の効果はあるが、不安定なウレアホルム肥料を改良し、これまでの課題を解決しました。さらに食味はプラスチック肥料以上、肥料としての価格を下げるという成果を上げ、まさに革命を起こしたのです。
プレゼンは拍手喝采!
とても素晴らしい舞台を見せてもらった思いで、学校を後にしました。
生徒のふとした疑問を、生徒、学校、地域が大きな成果へと導く、ここまで立派ではなくても、こんな成功体験ができる教育環境をめざしていきたいものです。