常任委員会報告 ー2023.第3回定例会

常任委員会のご報告。常任委員会は3日間。
初日は最大会派が丸一日質問します。
その中で、最も議論が白熱したのが、教職員の不祥事の再発防止について。
神奈川県教育委員会では、今年度すでに4件も懲戒免職事案が(どれもわいせつ)発生しています。
対策を問われると行政課長が「自分ごと化」という言葉を連発。
答弁を交代した部長は、「事件を起こすのは、熱心な先生が多く、熱心なあまり段々と生徒と距離感が近くなってしまう。」

ん!?

対策は、風通しよい職場環境とか、相談できる空気とか…
委員A「事件はほとんどが学校の外で起きてるんですよね?職場の風通しで、気づけるんですかね?」
委員B「まず被害者のこと考えましょうよ。あなたの娘だったらどうなの?」
さらに収拾つかず、参事官が答弁交代しますが、やっぱり微妙。で、最後は教育長が無理矢理締めた感じとなりました。でも、この教育長答弁も、「6月の事例はお酒が入っていたということで、お酒を飲む際には、必ず注意をしています」と、締まらんなぁ…
わいせつの逮捕案件ですよ?その被害者はもちろん、生徒も相当なショックを受けます。そういうケアの話がひとつも出ませんでした。(「まずは被害者」と言われて初めて被害者支援という言葉がありました。)
そもそも教員の人権教育、ほんとに大丈夫なのか?と心から不安になりました。

2日目、先に出た質問で印象に残ったところでは、教員の働き方や教員不足などが挙げられていました。
教員の不足は深刻な状況で、5月1日現在、小学校102人、中学校44高校11人、特別支援77人人が不足しているとのこと。
さらにショッキングな数字も明らかになりました。県内には、休職している教員は、2021年256人いましたが、そのうち精神疾患による休職者は、184人なんと7割にのぼります。前年から25%も増加しており、2022年は集計中だが、同様の増加傾向でおそらく200人を超える予測とのこと。メンタルヘルスの対策と同時に、やはり多忙化対策は喫緊の課題です。
それから、現在、中学校の部活動の地域移行に向けて計画が進んでいます。近い将来、学校の部活が地域のクラブ等に移行するといった検討が行われています。この辺りに質問が集中しました。

青木マキの提案

一人一台端末の活用とリスク
私からは、議案になっている特別支援学校の一人一台端末整備に関連して、デジタル機器のリスクについて伺いました。
ICT活用の推進も必要ですが、スマホやデジタル機器への依存や、学習の上での弊害()も問題視され始めていることからの課題提起です。長時間の使用を制限する、ルールを決めて取り組むといったことは行われていますが、本当にデジタル依存のリスクが現れるとしたら、これから・・・かもしれないですね。
*例えば、言葉を調べる際に、辞書を手繰るのと、デジタル機器(この場合はスマートフォン)で検索する場合には、脳波に大きな違いがある(スマホで検索した場合には、脳波が全く動かない。つまり記憶が定着しにくいそう)という東北大学の榊助教の研究結果があります。

学校断熱
今現在県立の学校で断熱されているのは、たった4校とのこと。
県立学校は、多くの学校で老朽化が著しく、「新まなびや計画」の中で計画的にまずは耐震→老朽化対策とがっちり組まれています。
しかし、今年の気温の上昇を経験し、教育環境の整備として、この「断熱化」が、喫緊の課題となってしまったことを肌で感じます。しかも、断熱は省エネとして、ちゃんと元が取れる改修です。
なんとか急ぎ進められないかと、高等学校が対象とならない補助金など、国への予算要望など含め、対策していくことを提案しました。
断熱化ワークショップも県立高校で行えれば、生徒が自らの手で脱炭素対策を実践できる良い教材にもなると思います。
実現したらいいですね。(答弁はイマイチでしたが)

特別支援学校と福祉避難所
ネット青葉の議論の中から課題提起があり、特別支援学校の福祉避難所の活用について取り上げました。
当事者、学校と共に、災害時の行動計画とともに考えていく課題として提案しました。私たちも引き続き考えていきたいテーマです。
別途レポートします。

支援が必要な子どもたちへの対応
家庭においての課題をもつ子ども達や、犯罪被害に巻き込まれた場合など、学校内だけでなく、子どもたちが問題課題を抱えていることは少なくありません。相談対応窓口などは、本当に様々多岐にわたって整備されつつあります。が、それを子どもたちが選別して、相談に繋げるのはなかなか難しいのではないかと思います。しかも相談窓口はほとんどが電話相談ですが、今の子って、本当に電話できないんですよね。電話となると相談のハードルが一層高くなってしまうのではないか。
時代がどんどん移っていき、LINEよりもInstagramとか、子どもが見ているものに目線を合わせていかないと。という提案をしました。

ヤングケアラー
といってもケアの内容は非常に多岐に渡るもので、家族の介護やきょうだいの子育て、数としては、外国にルーツのある子どもたちの言葉の問題が実は多いということも聞いています。「ヤングケアラー」というこの言葉ひとつで網羅するのは非常に難しい。

また、ケアを子どもが主に担うということは、望ましくはないけれども、本人は、それを誇りを持って取り組んでいたり、生きることに直結していたりといったお話も聞来ました。「ヤングケアラー=かわいそう」という図式自体が当事者を傷つけることもあり、現場では、否定的に取り上げることのない対応が必要で、とてもデリケートなことであり、それを一番に感じているのは、日頃から子どもたちに接する教員のみなさんではないかと思います。

ヤングケアラーの問題も貧困の課題も、子どもや学校の問題ではなく、今や社会で背負うべき問題。
ケアを受ける制度があるのに、それを知らない。または使ってはいけないとか恥ずかしいとかいうような風潮があったりする。ということにこそ問題があると考えています。
必要な支援を受けられる制度を作る。そしてケアが必要なら、受ける。そういうことを当たり前にできる社会を作っていくことが一番必要なのだと思うのです。
ただし、それを一番ベースとして取り組んでいくのが「教育」でもある。人権や、暮らしの中の子どもたちが持つ権利を伝えていく「教育」の役割をしっかり担っていただきたいと結びました。

委員会の録画がご覧いただけます。
10月2日の様子は、こちらこちらに後日アップされる予定です。