映画「かぐやびより」から福祉を考える

26日、スペースナナで行われたドキュメンタリー映画「かぐやびより」上映会に参加しました。
描かれている『さんわーくかぐや』は、藤沢の障害者の日中一時支援所。竹やぶに囲まれた都会のオアシスのようなぽっかりと浮かぶ自然豊かな土地にある10人定員の小規模な事業所です。

障がいのある人は、「人の愛おしさを教えてくれる。」そう思わせる映画でした。
もちろん「さんわーくかぐや」自体が、素晴らしい場所なのですが、何よりそこに通う「人」働く「人」がいいのです。クスッと笑えて、涙して、日常って、全てがドラマなんだな。と改めて感じました。

上映後のシネマトークでは、津村和比古監督、全理事長 藤田慶子さん、現理事長 藤田靖正さん3人のお話を伺うことができました。
監督は、かぐやに通い、撮影から編集まで4年をかけています。
「いいなぁと思ったらものをいいなぁと感じてもらいたかった。」という言葉のとおり、とても自然に、優しい目線で描かれていました。

統合失調症の娘さんのためにさんわーくかぐやを作った慶子さん。娘さんが亡くなってから、時が経って、後悔の気持ちを吐露するシーンを受けて、参加者から、娘さんからの贈り物だったんじゃないか?と尋ねられ「娘が生きて、意味があった。感謝している」と仰った姿は、「愛」そのものでした。

ご自身がアーティストである藤田靖正さんは、福祉とアートと農作業をつなげてきました。
さんわーくかぐやの場が醸し出すアート感は、靖正さんの功績に違いありません。
アートは「生きるエネルギーを作り出す作業」
農業は「実際に生きるためのもの」どちらも命につながるってことをおっしゃっていたのは印象的でした。
靖正さんは、今は理事長として、運営に頭を絞る日々。もちろん制度にも意見をお持ちです。
例えば工賃。障害作業所で受け取る工賃は、およそ月15000円程度。手元に残るのは、大体8000円くらいだそう。人間の尊敬を維持するのに、どうなのか?と投げかけます。
当事者が自分でお金を生み出す試みもしてみたそう。
お祭りで、自分で作った物を自分で売って、その対価を得ることができるという仕組み。
しかし、やってみるとあまりにも営業が白熱してしまい、他のメンバーとの協調性が失われる事態になってしまい、諦めたそうです。トライ&エラーのこうした実践は大切ですね。

イベント終了後に、福祉の制度について、語り合い、熱い思いに私も刺激をもらいました。
県内では障害者施設の虐待が後を絶ちません。その根本に「人権」意識の必要性をいつも感じますが、そもそも行政側は「人権」を軸に制度をつくっているのだろうか?数字ばかりをみてはいないだろうか?と考えさせられます。
そして、障害のみならず、子育て・教育や介護の分野もそうですが、こうした対策には、担い手に対する処遇の改善は不可欠です。「人」に関わる仕事の評価があまりにも低い現状を変え、もっと投資をしていかなければ、人手不足も現場の環境も解消しようがないのです。
課題だらけの福祉の制度をつくりかえていくのは、現場とそして「政治」
私もがんばろう✊

左から、津村和比古監督、藤田慶子さん、藤田靖正さん