在来種〜津久井大豆を〜守る取り組み

7月11日、第2回市民政治講座を開催しました。
第2回は、環境がテーマ。

第1部は、「市民と自治体が主役のエネルギー政策」ISEP所長 飯田哲也さん
第2部は、「地域の食・農の自治をつくる〜津久井大豆を守る取り組み〜」NPO法人ワーカーズ・コレクティブごむのき理事長で、元神奈川ネット座間市議の牧嶋とよ子さん
お二人の講師にお話をいただきました。今回は、第2部をレポートします。

地域の特産品が消えるかもしれない危機

座間市では、地元の豆腐店「外狩(とがり)豆腐店」の名物「どんぶり豆腐」に、津久井在来大豆が使われてきました。しかし、津久井在来大豆は固まりにくく栽培にも手間がかかるため、地元生産者はわずか1人。年間約500kgを生産していましたが、その生産が続けられなくなるという危機に直面していました。

牧嶋とよ子さん(神奈川ネット元座間市議/NPO法人ワーカーズ・コレクティブごむのき理事長)

2010年に開催した「ネット政治サロン『座間の農業振興を考える』」では、「なぜ生産者が増えないのか」「このままでは地域の特産品が失われてしまう」と議論が交わされました。一方で、行政には十分な危機感がなく、講演では「市民が動くしかない」と考えた経緯が紹介されました。

2011年には、当時座間市議会議員であった牧嶋さんは、女性初の農業委員に就任し、市民と行政をつなぎ、津久井大豆の生産復活に向けた実践が進められていきました。

市民が農業に参加する仕組みづくり

「市民参加で津久井大豆を守れないか」。その呼びかけに応え、市民ボランティア14人が集まり、農業者、JA、市の農政担当者とともに取り組みが始まりました。

2011年には、農業者1人の協力のもと、試験的に約2反の畑で種まきを実施。ボランティアは種まきや草取り、刈り取り、脱粒(だつりゅう)、手選別まで担いました。脱粒前に畑へこぼれ落ちる大豆は「真珠のように見えた」と振り返り、大切に育てた作物への思いが伝わるエピソードも紹介されました。

仲間が増え、地域の取り組みへ

翌2012年には農業者の関心が高まり、生産者は5人に拡大。収穫量は約2,000kgまで増えました。外狩豆腐店は津久井大豆を1kg500円で買い取り、「どんな粒でも買う」という姿勢が、生産者の励みにもなったそうです。

2013年には「大豆組合」が設立され、県や市の補助を活用して刈払機や脱粒機、選別機を導入。さらにJAも加わり、品質検査や保管体制が整備されたことで、取り組みは市民ボランティアだけに頼らない持続可能な仕組みへと発展しました。

現在では組合員は8人となり、年間2.5〜3トンを収穫。津久井大豆は「どんぶり豆腐」だけでなく、きなこ玉や五家宝など座間市の特産品に活用されるほか、学校給食では味噌や煮豆として子どもたちにも届けられています。

津久井大豆の特産品

「あの時、諦めなかったからできた」

講演の最後に牧嶋さんは、「あの時、諦めなかったから今がある」と語りました。

地域の課題を行政任せにするのではなく、「自分にできること」として市民が一歩を踏み出したことが、多くの仲間を巻き込み、地域の農業と食文化を守る大きな力となりました。

今回の講座は、地域資源を守るためには、市民・生産者・行政がそれぞれの役割を果たしながら協働することの大切さを改めて考える機会となりました。