声を、しくみに。 ―くらしの現場から県政を問う、代表質問 ―

9月11日、神奈川県議会第3回定例会の本会議で、県政会・立憲神奈川ネット会派を代表して質問に立ちました。

今回取り上げたのは、酷暑・寒波など環境に応じた避難所のあり方GREEN×EXPO 2027における障害福祉困難を抱える女性やDV・ストーカー被害者への支援不登校の子どもたちの多様な学びの場等への支援特定分野に特異な才能のある子どもへの教育、そして包括的性教育の推進です。

分野はそれぞれ異なりますが、共通しているのは、一人ひとりの置かれた状況や特性に目を向け、制度や仕組みからこぼれ落ちることのない支援をどうつくっていくのか、ということです。

酷暑・寒波など「環境に応じた避難所」へ

近年の災害では、地震や豪雨などの災害そのものだけでなく、避難生活中の酷暑や寒さが命を脅かす大きな問題となっています。

そこで、避難所についても、単に「避難できる場所」を確保するだけではなく、気候や環境に応じた避難所の選定・運営、非常用電源、福祉的配慮、空調機器などの設備、建物の断熱化などを横断的に考える政策への転換を求めました。

県からは、可搬式空調機器の設置に関する県冷凍空調設備協同組合との協定や、今年度新たに導入したスポットクーラー、市町村への補助などの取組が示されました。

さらに、猛暑の中で発生した熊本地震などの課題も踏まえ、「気候の変化に応じた避難所のあり方を検討し、避難所マニュアル策定指針に反映する」との答弁がありました。

いつ、どのような災害が起きるかは分かりません。自助・共助を呼びかけるとともに、より信頼できる公助の体制を早急に整えていくことを求めました。

「カームダウンルーム」の設置

発達障害や知的障害、精神障害などのある方の中には、強い光や大きな音、人混みなどの刺激によって、不安やパニックを感じる方もいます。カームダウンスペースは、そうした際に周囲から離れ、安心できる環境で気持ちを落ち着かせるための場所です。
GREEN×EXPO 2027には国内外から多くの方が訪れます。障害の有無にかかわらず、誰もが安心して会場を訪れ、楽しめる環境を整えることが必要です。

知事からは、県の出展施設「Vibrant/INOCHI/Forest/かながわ館」に、「カームダウンルーム」を設置する予定であることが示されました。また、音声案内アプリや映像への字幕表示、車いすで通りやすい通路幅の確保に加え、かながわ館の全スタッフを対象に、合理的配慮や障害特性に応じた対応を学ぶ実習型研修を行うとのことです。

さらに、こうした取組をGREEN×EXPOだけで終わらせず、県の施設や事業、民間事業者にも好事例として広げていくとの答弁がありました。
カームダウンスペースにとどまらず、誰もが安心してイベントや公共施設を利用できる環境づくりを県全体に広げていくよう求めました。

困難を抱える女性への「切れ目のない支援」を

DV、ストーカー、性被害、経済的困窮など、困難を抱える女性の多くは、一つではなく複数の課題を抱えています。相談窓口につながったとしても、支援機関が変わるたびに説明を繰り返したり、必要な支援につながらなかったりすることがあってはなりません。

そこで、県、市町村、警察、弁護士、民間支援団体などが情報を共有し、それぞれの専門性を生かしながら、相談から自立まで切れ目なく伴走する体制の構築を求めました。

知事からは、地域に開かれた新しいタイプの入所施設「わたしのお家」や通所型支援について、より利用しやすい仕組みにしていくことに加え、女性相談支援員を孤立させないための体制整備や、市町村・民間団体へのバックアップ強化を検討するとの答弁がありました。

また、現在検討されている条例について、女性支援法、DV防止法、ストーカー規制法に「横串を刺し」、関係機関の連携と当事者への支援を強化する条例を目指すとの考えが改めて示されました。

困難を抱える方が、その困難を乗り越え、自立し、自らの道を切り開いていくまでには、公的なサポートが必要です。それを県が行っていくことを恒久的に示す条例の制定の実現に向けて、引き続き働きかけていきます。

DV・ストーカー被害をワンストップで支援

あわせて、新たに整備される「DV・ストーカー被害相談支援センター」について質問しました。

ストーカー被害は、前兆のない中で事態が急変することもあります。被害が深刻化する前の小さな変化や予兆を見逃さず、警察との役割分担を明確にしたうえで、相談から安全確保、必要な支援まで切れ目なくつなぐ仕組みが必要です。

今年度設置が予定されている、配偶者暴力相談支援センターの機能を強化し、県と警察が連携して運営する「DV・ストーカー被害相談支援センター」において、ワンストップ支援を行うと知事の答弁がありました。さらに、相談業務には民間事業者の力も活用し、ストーカー被害の特性を踏まえた具体的な相談対応の流れを警察とともに整理していくとのことです。

不登校の子どもたちに、多様な学びと居場所を

一人ひとりの子どもの多様性を認め、それぞれに合った学びや居場所を保障していくためにも、フリースクール等を学校の外にある単なる選択肢としてではなく、子どもたちの学びや育ちを支える重要な社会的資源として捉えていくことが必要です。

県は2025年度から、市町村と連携してフリースクール利用料への補助を始めました。しかし、現在、制度を実施しているのは6市町にとどまっており、住んでいる自治体で受けられる支援に格差が生じています。そこで、利用する家庭への支援をさらに広げるとともに、他県の認証制度(長野県では、「信州型フリースクール認証制度」を設け、2024年からフリースクール等へ独自の支援を行っている)なども参考に、フリースクール等の活動そのものを支える仕組みについても検討するよう求めました。

知事からは、子どもや保護者、支援者の声を踏まえながら、より多くの市町村が補助制度を導入するよう粘り強く働きかけていくとの答弁がありました。

一方で、今回求めたフリースクール等への直接支援や認証制度について、具体的な答弁はありませんでした。
事前のヒアリングでは、県教育委員会から、フリースクールが持つ、子どもが安心して過ごせる居場所づくりなどのノウハウを、公教育にも取り入れていくことが重要との認識を確認しています。その認識をさらに発展させて、教育と福祉、そして民間団体が連携し、どのような形であっても、子どもたちが社会とつながりながら学び、育っていける仕組みをつくることを引き続き求めていきます。

特異な才能のある子どもたち(ギフテッド)への支援

いわゆる「ギフテッド」と呼ばれる、特定分野に特異な才能のある子どもたちについても取り上げました。

高い能力がある一方で、学校の学習内容や環境になじめず、困難を抱える子ども、学校とのミスマッチから不登校につながるケースもあります。当事者や保護者の方からお話を伺う中で強く感じたのは、何よりも「自分の個性や特性を理解してもらえない」ことのつらさです。

国では、次期学習指導要領に向けて、こうした子どもについて個別の教育課程の編成を可能とする方向で制度設計が進められています。

私は、国の制度改正を待つだけではなく、当事者や保護者、学校現場の声を把握し、教員の理解促進や取組事例の共有、学校外の専門機関との連携など、現在の制度の中でもできる取組を進めるよう求めました。

教育長からは、特定分野に特異な才能のある子どもは、小・中学校に約2%在籍していると言われており、中には学校生活に困難を抱え、支援が必要な子どももいる。と現状認識を述べた上で、教育相談コーディネーターやスクールカウンセラー等の専門性を生かした支援体制の充実が、有効であり、着実に推進していく。併せて、国の動向も注視しながら、特定分野に特異な才能のある子どもを含め、全ての子どもたちの学びを、今後もしっかりと支援していくとの答弁でした。

新しい取り組み等への言及はありませんでしたが、学校の理解が進む一助になることを願います。
当日は、私たちに課題を届けてくれた当事者の親子も、真剣に傍聴してくれました。

包括的性教育の推進

最後に取り上げたのが、包括的性教育です。

包括的性教育は、体や妊娠についての知識だけではありません。人権やジェンダー、多様性、同意、性と生殖に関する健康と権利、困ったときに必要な支援につながるための知識などを、発達段階に応じて学ぶものです。

県教育委員会に、小学校から高校までを見通した性教育のあり方を示し、すべての子どもが必要な学びを得られるよう、体系的・継続的に推進することを求めました。

教育長からは、県独自の「性に関する指導の手引き」に包括的性教育の考え方を盛り込み、人権教育、防犯教育、情報教育、性に関する教育の4つの視点を関連させた取組を進めていることや、教員研修、小学校への特別授業などの取組が示されました。

さらに再質問では、学習指導要領のいわゆる「歯止め規定」がある中で、生徒から性行為などについて質問されたとき、教員が十分に答えられないケースがあることを取り上げました。

教育長からは、学習指導要領を踏まえたうえで、生徒からの質問等に教員が臨機応変に対応する必要があることを、市町村が集まる会議などで周知するとの答弁がありました。(臨機応変って・・・この答弁にはさすがに議場がざわつきました)

議論を通じて改めて感じたのは、「生命の安全教育」が性犯罪や性暴力の防止を目的とするのに対し、包括的性教育は、その大前提となる「人権」を基盤とした教育だということです。
性犯罪の防止から入るのではなく、人権教育を入口として、人権やジェンダーの視点に立って性について伝えていくことが重要です。一方で、教員自身も、包括的性教育の視点に立った教育を十分に受けてきたとは言えません。さらに、歯止め規定によって教室にタブーが存在してしまうことを、子どもたちは敏感に感じ取っています。

包括的性教育を推進することは、子どもたちだけではなく、教員自身が人権や同意、他者との境界について学ぶことにもつながり、教員による性暴力や不祥事を防ぐという観点からも重要です。国の動きを待つことなく、神奈川県から包括的性教育を積極的に推進することを提案しました。

 

引き続き、県政に声を届けていきます

今回の代表質問では、避難所のあり方から、障害福祉、女性支援、子どもの学び、性教育まで幅広いテーマを取り上げました。

一つひとつの課題の背景には、当事者や家族、支援に携わる方々から伺ってきた声があります。

制度に人を合わせるのではなく、一人ひとりの違いや置かれた状況に応じて、必要な支援や学びにつながることのできる県政へ。

今回の答弁で示された取組が、実際の制度や現場でどのように進んでいくのか、引き続き確認し、提案を続けていきます。

※代表質問の様子は、神奈川県議会の本会議中継動画でご覧いただけます。

2026年9月11日 代表質問・本会議中継動画

傍聴に来てくれたみんな、会派のメンバーと記念撮影