神奈川で起きていること2 ーPFASを見える化するー学習会
PFAS汚染とわたしたちのくらし
「見えない汚染」を知り、市民ができることを考える
6月17日、農民連食品分析センターの八田純人さんを講師に迎え、学習会を開催しました。
農民連食品分析センターは、1996年に市民や生産者らが約2,000万円を募って設立されました。輸入食品の残留農薬調査や遺伝子組み換え食品の検査などに取り組み、市民の立場から食と環境の安全を見つめ続けています。
「永遠の化学物質」PFASとは何か
PFASは炭素とフッ素が強固に結合した化学物質で、自然界ではほとんど分解されません。そのため「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれています。
八田さんは、かつて使用が規制されたDDTやBHCなどの有機塩素系農薬を例に挙げ、規制から半世紀が経過した現在でも環境中から検出されていることを紹介しました。PFASは、有機塩素系農薬以上に蓄積性が高く、今後長期間にわたり環境中に残り続けることが懸念されています。
また、1万種もあるPFASの中で、規制されているのは、現在PFOS、PFOAのみです。その代替として多く使われ始めているPFHxSは半減期も約8.5年と長く、既に大きな課題となっています。
全国の河川で確認されたPFAS汚染
農民連食品分析センターでは、、全国の釣り人や市民と協力しながら河川調査を実施し、115地点をマッピングしています。その結果、調査したすべての地点でPFASが検出され、PFAS汚染は、一部地域だけの特殊な問題ではなく、全国的な課題であることが示されました。
また、調査からは、特に廃棄物処分場といった施設の周辺で高い濃度が確認されており、生活の廃棄物からの汚染と関連性が指摘されています。
八田さんは、こうしたデータは、単純な汚染濃度だけでなく河川の水量にも目を向けることが重要だと言います。大きな河川で高濃度が検出された場合、それだけ大量のPFASが環境中へ流出している可能性があります。
水だけではないPFAS汚染
講演では、水以外の汚染についても紹介されました。

下水汚泥を利用した肥料からは、高濃度の検出が確認されており、さらに高濃度に汚染された土壌を通じた農作物への移行も起きています。さらに驚いたのは家庭内のほこりのPFAS調査です。
海外の調査では、家庭内のPFASを含んだほこりと白血病の発症率との関連を示唆する研究も報告されています。センターでの国内の調査ではPFASが検出されていない家庭はなく、最大で42万ngという高い数値が確認された事例も紹介されました。カーペット、床のワックスなどを疑って更に調査を重ねたものの、明確な原因はわかりませんでした。
一方、アレルギー対策などで、空気の入れ替えやこまめな清掃を行っている家庭では比較的低い値が見られたことも報告されました。
世界と日本の規制の違い
アメリカではPFOS、PFOAそれぞれについて4ng/L以下という厳しい水質基準が設定されています。一方、日本の規制は今年ようやく水道水質基準が設定されましたが、50ngと世界的にも高い基準であり、環境基準の設定など今後さらなる規制強化が求められる状況にあります。
市民ができるPFAS調査
講演後半では、市民が参加できるPFAS調査について具体的な説明がありました。
水の検査の場合の採水には市販のミネラルウォーターのペットボトルを使用し、採取場所や日時を記録すること、汚染の原因となる物質が混入しないよう注意することなど、実践的な方法が紹介されました。
「測らない」のではなく「測って知る」
講演の最後に八田さんは、「測ると問題が見えてしまうから測らない、という方向に進んではならない」と強調しました。
グリホサートや放射能の検査でも同様の傾向が見られますが、まずは実態を把握し、情報を共有することが対策の第一歩です。また、汚染が確認された地域や個人の責任にするのではなく、社会全体の課題として取り組む必要があると訴えました。
見えない汚染と向き合うために
今回の学習会では、PFAS汚染が特定地域だけの問題ではなく、私たちの暮らしや環境全体に関わる課題であることを学びました。
見えない汚染だからこそ、実態を調べ、知り、共有することが重要です。市民による調査活動や情報公開の積み重ねが、将来の環境政策や健康を守る取り組みにつながることを改めて考える機会となりました。





