「困難な状況にあっても働く」を支援する。就労支援を考える

9日午後は神奈川ネットに、ユースポート横濱 理事長 綿引幸代さんをお招きして、就労支援プロジェクトのスタート学習会を開催しました。生活困窮者自立支援制度施行から3年、国では見直しの議論が本格化する中、改めて自治体の取り組みも見直しながら、今後のあり方を検討していくプロジェクトのスタートです。
綿引さんからは、冒頭
・あなたにとって「働く」とは?
・「困難な状況にあっても働く」ことを支援するのはなぜ?
という二つの問いかけがありました。
明確な正解がある問いではありませんが、その場で共有した答えを、私たちが取り組むことと、時折立ち返り確認するべきこととして、胸に刻んでおこうと思いました。
その後、「認定就労訓練事業の様子と今後の調査研究内容の検討」と題し、綿引さんから現状をお話しいただきました。
認定訓練事業では、自治体が認定した事業者が、就労訓練を担う仕組みになっています。
ユースポート横濱は、認定就労訓練事業の中間支援組織として、いわゆる中間的就労のマッチングを行っています。
認定訓練事業の実情はというと、2015年から今年の3月末時点累計で、全国で自立相談支援の新規相談件数は45万人という状況の中、認定就労訓練事業利用件数はたった354件です。
横浜市では18件。決して多いとは言えません。
認定数は全国で933事業者、横浜市では36。横浜市の数字は全国と比較して、決して少ない訳ではありませんが、370万人都市の就労の場としては、やはり足りていないのが実態です。
若者サポートステーションの就労支援では150事業所まで広がった実績を持ちながら、生活困窮者自立支援制度の中で認定が進まない。その背景も見えてきています。
生活困窮者制度の認定訓練事業では、事業者が受ける認定には、貧困ビジネスなどを排除する意味でも厳しい基準があり、面倒な手続きを踏む必要があります。しかも、認定自体には事業者へのメリットがほとんどありません。このインセンティブの必要性は、かねてから指摘をされてきたことです。
見直しの議論の中でどのように強化されていくのか、見守る必要があります。
また、制度そのものが、一般就労をゴールに作られていますが、実際の現場では、複合的な困難を抱え、一般就労は難しいケースが多く見受けられるといいます。それでも社会との接点を「働く」ことでつなぎ止め、短い時間でも働き続けたい人がたくさんいるのが実態です。
こうしたケースをどのように受け止めていくのかも、大きな課題と感じています。
後半は、様々な疑問から、今後の調査研究内容を検討するワークショップ。
かねてから、自分ごととして受け止めずらいネーミング自体にも問題があると思っていましたが、
そもそも「生活困窮者」って誰を定義しているの?という素朴な問いかけから始まり、次々と疑問が提示されました。
事業者の負担はどのくらいあるのか?リスクをどう捉えていくべきか?
一般就労を目標としない「働き」を制度としてどう捉えていくのか?などなど・・・
今後の調査の方向性についても共有できる非常に有意義な時間でした。
この疑問にひとつひとつ答えを出せるよう、調査研究し、提案へとつなげていきます。